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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第38章 何度生まれ変わっても





「…宇髄さんらしくない音です。」


突然そんなことを言い出した善逸に俺は少しだけチラッと目線を変えた。


「ほの花と…こ、恋仲だった時の宇髄さんは知らないけど…、遊郭での戦いの時も、鰻屋に来た時も宇髄さんは音に滲み出るほど頼もしい音だったのに今は見る影もないし、まるで幽霊みたい…」


「はぁ?何言ってんだよ。意味わかんねぇわ…」


「……ほの花はいつも宇髄さんを想って泣いてたけど、ほの花が好きだったのは…そんな宇髄さんじゃないと、お、オモイマス…」



俺の睨みにどんどん小さくなるその声だけど、震えながらも言い切ったその内容に少しばかり思うところもある。
だが、こんな弱ったほの花を見れば少なからず気落ちするだろうが。


「…ほの花から聞いたのか?俺とのこと。」


「え…?は、はい。そうです。あと炭治郎と伊之助とカナヲちゃんとアオイちゃんも知ってると思います。」



別に咎めるつもりはない。
一人で抱えきれないほどのものだし、その時にほの花が精神的に病んでしまわなかったのはコイツらのおかげでもあるなら咎められるわけがない。

元々精神的に参ると体に出やすいほの花。
出会った時も一度別れてしまった時も同じように体調を崩して食事がとれなくなったほど。
でも、今回ほの花はそんな気配はなかった。
責任感の強いアイツのことだ。
意地でも作戦を完遂させなければと言う強い想いもあったのだろうが、コイツらが支えてくれたことも少なからずあるのかもしれない。


「…で、でも…、宇髄さんは本当に忘れていたんですか?」


「…?何でだよ。流石に忘れたフリなんかする筈ねぇだろ?」


こちとら毎日毎日ほの花との関係性に違和感を感じて過ごしてきたと言うのに、忘れたフリなんていう自虐的なことをするなら随分と変わった性癖を持ってるとしか思えない。


「え、…え…!だ、だって…!鰻屋に迎えにきた時からずっと宇髄さんからはほの花の周りにいる男に対しての嫉妬の音しかしてなかったから…!」



そんなことを音で気付かれたのは初めての経験。
でも、善逸の言葉に少しだけ納得したこともある。


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