第38章 何度生まれ変わっても
考えれば考えるほどほの花に対して申し訳ない気持ちばかりが出てくる。
目の前の六人が恋仲になった時、やっと気付くなんて俺は配慮のかけらもねぇ男だったと恥ずかしくなった。
そんな俺の心情を知ってか知らずか大進が話し始める。
「ご配慮頂きありがとうございます。ですが、宇髄様さえ良ければこのままこちらに居てもいいでしょうか?」
「…いや、俺は…いいけどよ。お前らは…いいのか?」
「人の想いは変わっていくものです。貴方との関係性は知っていても尚、好意を止めることは出来ませんでした。我々にも元妻がいます。それを受け入れてくれた三人にとても感謝しています。」
ああ、そうか。
確かにコイツらも里に妻がいたと言っていた。
あの鬼に…皆殺しにされた時に共に亡くなった。
でも、だからこそ雛鶴達のことを理解して、愛してくれたのかもしれない。
此れは運命か、必然か。
三人の元嫁達が幸せそうに笑っている姿を見るとホッとして、体が弛緩していく。
ほの花が此処に来なければ、コイツらと出会うこともなかっただろう。
コイツらはまだ三人いるから俺に対して不満を抱いても三人で話せるだろうが、ほの花は違う。
元嫁達に俺の愚痴を言うことなどできなかっただろう。ただでさえ遠慮していたと言うのに。
あれほどまでに瑠璃に懐いた理由も今更ながらに理解する。アイツも一人だけ嫁から外された側の人間。負い目や引け目を理解してくれるから。
ほの花はずっと"独りぼっち"だったのだ。
何か俺に対して不満があっても誰にも言えなかっただろう。
コイツらの"元嫁"という肩書きに引け目を感じていたのだろう。すぐに嫁にしていたらまた違った未来があったのかもしれない。
でも、そんなことを考えてもあとの祭りだ。
俺がそこの心情を理解してやることができなかった。
愛しているとか言っておきながら、俺はほの花をただ愛するだけで其処に思いやりはなかった。
自分の想いを一方的に押しつけて、言葉での愛してるを欲しがっただけ。
ほの花が寛げるための努力を怠った。
どれほど寂しかったことだろう。
どれほど心細かったことだろう。
(…ごめんな、ほの花。)