第38章 何度生まれ変わっても

詳しく聞けば、雛鶴達はあの戦いの後少しずつ思い出して行き、その内容を正宗達に伝えたところ全員が思い出すことができたと言う。


「今だから言えますけど、私、天元様から夜のお誘いされた時、どうやって気絶させようか…とまで考えたんですよ！」


「おい、流石にひでぇだろ！！」


「だってそうじゃないですか！ほの花さんのことを忘れるために…ってことだと今なら分かりますが、あの時は違和感が凄くて随分悩みました。良かった、何もしなくて…」


「どっちにしても何もできんかったわ！こちとらほの花以外に勃起しなくて死活問題だったんだぞ？！」



それはそれでまきをに対しても失礼かと思ったが、家族の前で格好つけても意味がないと思いきって言ってみれば、「はしたない！！」と鬼の形相をして俺を此処ぞとばかりに詰る六人。
確かに今のは俺の品がなかったとは思うが、それほど大変だったのだ。
すると、静かだった雛鶴までもが口を挟んできたので俺は少し驚く。雛鶴はいつも纏め役でこういう時は静観していることが多いというのに。


「そもそも天元様がほの花さんと幸せなら私たちだってそれぞれ幸せになってもいい筈ですよね？」


「へ…？！そ、そりゃ、そうだろ？良いに決まってんだろ。」


「ですよね？それなら私たちにだって選ぶ権利がありますから。ね？」



雛鶴の言葉に「うんうん」と何度も頷くまきをと須磨に俺は首を傾げる。
コイツらは俺の家族だが、元嫁だ。
正直、絆は今だって深いし、大切な存在に変わりない。
だけど、雛鶴の言う通り、関係を解消した以上俺の元にいる必要性もない。好きな男が出来たのならば此処から出て行ってもらっても構わない…のだが、突然それを匂わせるようなことを言われて娘を嫁に出す父親のような感覚になって冷や汗が垂れる。


「…は？え？！ちょ、ちょっと待て…！お前ら、ひょっとして男出来た？！」


すると三人が三人ともとびっきりの笑顔でこちらを見るので目玉が飛び出そうになった。
いや、俺が先にほの花に熱を上げちまったからいつかはそういう男が現れたら良いと思っていたけど、あまりに突然言われてぽかんと口を開けたまま放心状態だ。