第38章 何度生まれ変わっても
ほの花がいなくても其処には俺の家族がいる。
雛鶴、まきを、須磨はいつも通りに家事をしてくれて、正宗、隆元、大進もいつも通りにその手伝いをしてくれる。
こんな時一人じゃなくて良かったと思うばかり。
一人でいたら流石の俺も考え込んでしまうだろう。
賑やかな食卓は久しぶりだ。
コイツらにも潜入調査に行ってもらっていたし、その間はほの花と二人きりだったからな。
そういえば…正宗達の記憶は元に戻っているのだろうか。
雛鶴達は最後に話した時は既に理解しているようだった。
「なぁ、正宗達は…その、記憶は元に戻っている…か?」
多くの食事が並ぶ卓越しに一斉に俺を見る奴らに一瞬たじろいだが、直ぐにその顔は穏やかになり、コクンと頷いた。
「此処に帰ってきてすぐに完璧に思い出しました。なのでちゃんと覚えていますよ。宇髄様達が恋仲だったことを。」
「…そうか。」
「謝らなければならないのは我々の方かもしれませんね。ほの花様が皆様を巻き込み、記憶を操作したことはお世辞にも良いとは言えません。元護衛として謝罪を…」
「いや、それはいい。」
正宗が代表して謝罪をしようとしてきたので手で制してそれをやめさせる。
忘れ薬を飲ませたことはまずかったとは思うが、そのおかげでやはりほの花は俺にとってかけがえのない代わりの利かない女だとより一層感じることができた。
今となっては前よりもほの花をもっと愛おしいと感じている。
俺しかアイツを幸せにできないとすら思うほどに。
「アイツは俺の女だからな。お前らが謝ることはねぇよ。こっちこそ俺の女が悪かったな。お前らに謝る。自分の女がやったことは俺の責任でもある。悪ぃ。」
ほの花がそこに行き着くまでの葛藤も分かるし、コイツらの気持ちも分かる。
だが、全部ひっくるめても俺の中で変わらないことがある。
どんなほの花でも愛していると言うことだ。
迷惑くらいかけてみろ。
一緒に悩めるのが楽しみなくらいだ。
遠慮して控えめなお前も奥ゆかしくて品があって好きだが、そうじゃないほの花だって愛せる自信がある。
だからお前のためなら喜んで頭を下げてやる。
それほどお前に溺れてるってことをちゃんと目が覚めたら分からせてやる。