第38章 何度生まれ変わっても
「ちょ、マジかよ!言えよな!?全っ然知らなかったぜ…!」
「言おうと思ってたんですよー?!でも、記憶がなくなっちゃったから言うに言えなくなっちゃったんじゃないですかぁ!ほの花さんお尻ぺんぺんです!!」
「あ、それは…うちのほの花がすまん…。」
須磨はそう怒っているようにも見えるが、顔は笑っている。なんだかんだ言ってもコイツらはほの花のことも気に入っているのを俺は知っている。
本当なら女同士で積もる話もあるんだろうな。
「へー。ところでちゃんと嫁に行く時は俺に挨拶に来させろよな。良い男か見極めてやっからよ。」
もう父親だと言われてもいい。
やはり大切な元嫁達だ。幸せになってもらいたいのは変わらないのだからその男がいい男なのかを見極めるまでが俺の責任だ。
そう言って三人の返答をワクワクしながら待っているが、変な顔をして若干顔を引き攣らせていることに気づく。
「…何だよ、その顔。何か変なこと言ったか?」
「…天元様って…ぼんくらですねぇ…。いや、ほの花さんも鈍感だから似たもの夫婦になりますねぇ!!」
「はぁ?!何だと?!しかもほの花なことまで悪口言うなよな!」
「だって〜私たち結構分かりやすかったと思いますけど…ねぇ、雛鶴さん、まきをさん?」
そう言って須磨が二人に問えば大きく頷き、同じようにジト目で俺を見遣る。
俺だけじゃない筈だ。ずっと静かに話を聞いてるが、正宗達だって知らなかった筈だ。
せめてぼんくら呼ばわりされるのを道連れにしてやろうと三人を順番に見つめる。
「っ、お、お前らだって知らなかっただろ?!俺だけじゃねぇよな?!」
「…あー……いや、……」
ちょうど正面にいた隆元が頬をかきながら言いにくそうにしているのを見てまさかコイツら気づいてたのか?と思い、絶望に打ちひしがれそうになった。
ところがおずおずと三人が三人とも手をゆっくりと上げると俺と向き合った。
「…す、すみません…。我々が…その、当事者なので…何と言えばいいか…。」
正宗がそう言ったのを皮切りに隣にいた雛鶴達が一斉に隣にいた男の腕に自らのを絡ませたのを見て俺は今世紀最大の絶叫をした。