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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第38章 何度生まれ変わっても






俺の言葉を聞いてもその表情が崩れることはなく、お館様の口元には笑みが浮かんでいた。
そしてゆっくり頷くと口を開く。


「そうか。そう言ってくると思っていたよ。長い間第一線で戦ってくれてありがとう。」


「…とんでもありません。鬼舞辻無惨を倒せていない中、勝手なことを言って申し訳ないと思っています。」


「……いや、謝るのは僕の方だ。」



突然、お館様は俺から目線を逸らして天井を見上げた。その表情は一変して憂いを帯びていて首を傾げることしかできない。こちらが謝ることであって謝られるようなことは何一つ身に覚えがなかったからだ。



「ほの花の治癒能力の件…悪かったね。」


「え…?!ご、ご存知で…?!」



そう言われて俺はハッとした。
能力を受けていたのは他でもないお館様自身。
最初は気付かなくともほの花が治癒能力を使っていると手を翳してくれている部分がほんのり暖かくなるので数回受ければその不思議な能力に気付くだろう。

しかも、お館様は高頻度でそれをされていたのであれば気付かないわけがないのだ。



「ああ。知っていたよ。ほの花のご両親から聞いていた。そして実際目の当たりにもしているからね。でも…ずっと知らないフリをしていた。すまなかったね。」


「え、あ、いや…!そ、そんな…」



俺は動揺して頭が沸騰しそうだった。
能力を実際に受けていたから気付いたのではなく、その前にほの花の両親から聞いていたなんて思ってもいなかったから。



「神楽家とは古い付き合いだからね。鬼舞辻無惨を倒すために必要なことは常に情報共有していた。ほの花が生まれた時に秘密裏にその能力のことと出生の秘密について聞かされていてね。だからほの花が此処を訪れた時、既にほの花の稀血の秘密も全て知っていたんだ。」



考えてみれば確かにそうだ。
お館様はほの花ではなく、神楽家当主と付き合いがあった。
ほの花よりも陰陽師のこと、稀血のことは詳しいだろうほの花の父親から聞いていてもおかしくはない。


産屋敷家と神楽家は同盟を結んでいたようなものなのだから。





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