第8章 愛し君と…(※)
後頭部に手を回し、もう片方の手で細腰を引き寄せてしまえば簡単になされるがままに抵抗しないほの花。
唇を離し、角度を変えもう一度押しつけると薄っすら開いていた瞳を慌てたように閉じた。
(…ばぁか。遅いっつーの。)
そんな一挙一動が逐一可愛く感じてしまうのは俺がコイツに心を完全に奪われている証拠だ。
しばらく口付けを繰り返していると少しだけ肩の力が抜けてきたようなので、その頃合いで少しだけ舌を差し込んでみた。
「…んっ!ふぅ、…」
「…ほの花、そのまま絡ませろ。」
「ふぇ、…ぁ…」
勝手が分からないようで舌を所在なさげに右往左往させるだけなので絡めるように深く口付けてやると聴いたことのない艶っぽい声が聴こえてきてゴクリと生唾を呑む。
これくらいで色気を感じていたらコイツの裸を見てしまったら秒で挿入したくなってしまうのでは…、と自分の行く末が心配になるが、まずは目の前の問題を解決させることが先決だ。
落ち着かせるように頭を撫でながらゆっくりと舌尖でほの花の口内を優しく刺激する。
舌を絡ませて
歯列をなぞるように舐めて
上顎を奥から手前に摩るとピクっと体が跳ねた。
先ほどカチンコチンだった体はいい具合に弛緩して俺の胸に預けていたので一旦唇を離してほの花の体を座ったまま横抱きにした。
「…いい子だ。落ち着いたか?」
「…う、は、…はい。」
「ほんっっとーにお前は馬鹿だな。」
「ぅうー、すみません…。」
「折角、俺は待ってやろうと思ってたのによ。」
「………へ?」
キョトンとした目で見上げるほの花の顔が可愛い。こんな顔を見られるのも自分だけだと思うとそれだけで満たされていくが、それと同時にもっと自分だけに見せる表情を見たいと言う欲もムクムクと湧き起こる。
でも、ほの花もそれを望んでるってことでいいよな?
俺はもう待たない。