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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第38章 何度生まれ変わっても






伊黒と話してる間に雛鶴達がほの花の元護衛達を呼びにいってくれてことの次第を話してくれていた。


正直、正宗達が妹のように可愛がっていたほの花を生死の境を彷徨わせたのは自分だ。
何を言われても仕方ないと思っていたのに、戻ってきたアイツらと一緒にやってきた正宗達は深々と頭を下げた。



「…ほの花様がご迷惑をおかけしました。」


「へ…?いや、俺は…」


「忘れ薬の件も聞きました。本当に申し訳ありませんでした。これはほの花様の決めたこと。どうか宇髄様は気に病まれないようにしてください。たとえ此処で死んだとしても悔いはないでしょう。」



そう言う正宗達は悲しそうに笑っているが、納得したような表情をしていた。
何度も「ご迷惑をおかけしました」と謝る三人に俺は首を振り、立ち上がるために手を貸してもらう。



「…蝶屋敷に向かう。肩貸してくんね?」


「は、はい!もちろんです。」



此処で待ってれば医療班が来て、運んでくれるだろうが自分の足で歩きたかった。
上弦の鬼を倒した実感を感じたいと言うこともあるが、それよりもほの花のことを整理する時間が欲しかったから。


アイツの心臓が止まっていた時、本当に怖かった。上弦の鬼との戦いのときは恐怖なんてなかったのに。

怖くて怖くてたまらなくて、手の震えが止まらなかった。正直、今も余韻が残っている。
息を吹き返したとは言え、危険な状態なのかもしれないし、医療者じゃない俺は今の状況をちゃんと理解もできない。



「…俺はさ、ほの花になら迷惑かけられたいわけよ。」


「…宇髄様?」


「たった一人の恋人だぞ。それくらい受け止められる自信もあるのによ。アイツはほとんど甘えたことねぇんだわ。」



思い出すのはほの花との思い出。
小さな里の中でだけで生きてきたほの花。
知らないこともたくさんある。
裏切っていないのはわかってるけど、俺には言えないと言っていたこともある。

約束したから言えないとは言っていたけど、そうやってアイツは俺に言えない何かをずっと隠して生きてきたのかもしれないと薄々感じていた。


甘えてくれないと思っていたのも事実だが、甘えさせてやれなかったこともまた事実なのだ。

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