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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第38章 何度生まれ変わっても






「…伊黒、あの能力はほの花の元護衛すら知らねぇ能力だ。そこまで隠してきたと言うことは使い続けることがほの花にとって良くねぇからだ。」


伊黒は俺の話をため息を吐きながらも口を挟まずに聞いてくれている。
呆れられたっていい。
過保護だと言われてもいい。

そこまで隠すのは理由がある。
最悪、寿命を削っちまってるんじゃないかという嫌な予感すらしているのだから。



「…だからあの能力だけは使うなといつもいつも口酸っぱくなるほどほの花に伝えてきた。その結果がこれだ。腕一本治すのに死にかけるなるならもう何もさせたくない。頼む…、分かってくれ。」


詳しいことは誰もわからない。
わからないからこそ用心するのは仕方ないだろ?死んでからでは遅いのだから。



「それでもただでさえ若手が育たず死にすぎている。お前の力が半分程度に落ちたとしてもいないよりはマシだ。死ぬまで戦え。」


そう言う伊黒に俺はニヤリと笑みを浮かべた。
そんなことはない。
今回の戦いは俺一人では絶対に勝てなかった。

戦力が落ちた俺が足手まといになりながら戦うよりも託すべき人財がいるのだ。



「いーや、若手は育ってるぜ。確実に。お前の大嫌いな若手がよ。」


"大嫌いな若手"と言われて伊黒はピンと来たのだろう。そりゃあそうだ。
コイツが嫌いな若手ときたら一人しかいないのだから。


「…おい、まさか…生き残ったのか?この戦いで。竈門炭治郎が…」



そう。鬼の妹を連れた炭治郎は柱合会議で一悶着あった因縁の相手。
嫌っていたのは周知の事実だが、辺り一帯が壊滅状態で瓦礫の山。
上弦の鬼との戦いでまさか階級の低い若手など生き残れる筈がないと思っていたからだ。


「ああ。正直、アイツらがいなかったら勝てなかったぜ。あとは後輩に任せる。お館様も許してくださるだろう。」


「……フン。」



伊黒の不満そうな表情は改善しなかったが、上弦の鬼との戦いで生き残ったのであれば十分に育ってると言える。
アイツらはまだまだ強くなる。
一緒にたたかった俺が保証する。


「…さっさとお前も蝶屋敷に行け。神楽が気になって仕方ないんだろう?」


確かに気になって仕方がない。
当たり前だ。
記憶があってもなくても結局俺はほの花しか見えてなかったのだから。

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