第8章 愛し君と…(※)
ほの花は真面目だ。
だからやると言ったら必ずここに来るとは思っていた。
思ってはいたが…
この顔を真っ赤にしてカチンコチンに固まって動かないほの花を俺はどうしたらいい?
「随分、楽しそうだったな。まきをと面白ぇ話でもしてたのか。」
「イ、イエ、ソンナ、フツウノハナシデス!」
「…にしてもまきをは声がデケェ。」
「スミマセンデシタ…!」
「………お前どうかしたか?」
何とか気分を和らげようと思って当たり障りのない話を振ってみてもほの花の態度は変わらない。俺の目をちらりとも見ずに、一点を見つめたまま心ここに在らずなほの花。
「…なぁ。どうした?こっち向けよ。」
「ひ、ひぇっ…!」
仕方なく顔の角度を手で変えてやると目は合うがボンッと爆薬が爆発したかの如く顔がもっと真っ赤になるほの花に目を見開く。
これは…
ひょっとして
ひょっとしなくとも
"意識されている"のだろうか。
大方、この感じだとまきをの入れ知恵だろうが、今回ばかりは"よくやった、まきを!"と褒めてやりたいところだ。
が、…肝心のほの花は息ちゃんとしてるか?と気になるほど動揺しているため前途多難だ。
こんなカチンコチンではヤれるものもヤれない。
むしろ途中で緊張しすぎてのぼせるんじゃないかと思うほど。
「…ほの花。按摩は?」
「あ、し、シマス…!う、宇髄さん、ね、ネテクダサイ…!」
「…ああ、頼むわ。」
まずは按摩してもらうことでほの花にも落ち着いてもらうしかねぇな。
言われた通りうつ伏せに寝るが、ほの花の緊張感が伝わってきて俺まで意識してきてしまった。
女を抱くってこんなに緊張するものだっけ?
考えられないほどの緊張感と高揚感が頭を支配する。
背中に感じるほの花の指すら熱く火照っているように感じるなんて完全に俺はほの花に当てられているに違いない。