第37章 貴方は陽だまり
しかし、まとわりついてきた帯を纏めて突き刺して動きを封じたのは炭治郎。
(…役に立て!少しでも攻撃を減らせ!勝利への糸口を見つけろ!)
何とか体を動かしている炭治郎だが、体は悲鳴を上げている。
体は痛みで軋むし、出血していたことで体のふらつきもある。
宇髄は自分自身を恥じていた。
柱であるのに毒を喰らったことで早くカタをつけないと全滅だということが現実的になってきているからだ。
(アイツももうヤベェぞ。動けてるのが不思議なくらいだ!多分肩の傷が相当深い。左手は柄に縛っておかないと握ってられねぇんだろ。)
炭治郎の状態を冷静に確認しているが、こうしている間にも着実に自分が喰らった毒も体を蝕んでいく。
動ける時間は刻々と迫っているのだ。
その頃、屋根の上では…
「アハハハッ!死ね死ね不細工ども!!」
堕姫と対峙している伊之助と善逸が必死に帯と血の刃に苦しめられていた。
「ぐおおおおお!帯に加えて血の刃も飛んでくるぞ!何じゃこれ!蚯蚓女に全然近づけねぇ!!」
地下洞でうけていた時の帯とは比べ物にならないほどの速度の帯だけでなく、更に血鎌の刃まで飛んでくるのだ。
柱である宇髄ですら何とか受け止めているというのに階級が低く、実力も下がる二人が防戦一方になるのは当たり前だ。
死んでないだけ幸運と言える。
「くそぉおっ!特に血の刃はやべぇ!!掠っただけでも死ぬってのを肌でビンビン感じるぜ!!」
伊之助の野生の勘は当たっている。
恐らく当たれば死ぬ。
それほどまでの殺傷力を誇る血の刃に加えて、帯の攻撃まで受けているのだ。
四人が勝機を見出せずにいるのも致し方ない。
炭治郎もまた帯の猛攻を受けて息すら続かない状況に陥っていた。
回復の呼吸を使いたくてもそれを使う間すら与えてくれない。
しかし、その時だった。
屋根の上から飛んできたクナイに妓夫太郎は少しだけ気を取られた。
飛んできたクナイの方向に視線を向ければ雛鶴が決死の覚悟でそこにいた。
そこにほの花の姿はない。
この攻撃に何の意味があるのか妓夫太郎は冷静に考えていた。