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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第37章 貴方は陽だまり





ほの花に渡された解毒薬を飲むと雛鶴の呼吸が少しずつ落ち着いてきたのでホッと胸を撫で下ろした。


「ほの花さん…、私、天元様のところに加勢に行こうと思います。」


「え……?!い、いや…!でも、雛鶴さん…!」


「藤の毒を塗ってあるクナイを秘密裏に準備してあるんです…!動きを止める事くらいはできる筈…!」



その瞳は揺らがない。
強い決意の表れを感じる。

しかし、上弦の鬼との戦いに"加勢"するとは余程の実力がなければ命を落とす。
若しくは足手纏いになりかねない。
此処は止めるのが正しい選択だろう。


「雛鶴さん…!師匠は雛鶴さんが危ない目に遭うのは望んでいないと思います…。」


「そうだとしても…!鬼の動きを止めるくらいなら出来る筈なんです!だから行かせてください。行かずに後悔するなら行って後悔します!!」


「……!!ひ、雛鶴、さん…」



それはほの花が此処に潜入する時に思った言葉とまるっきり同じ。

"行かずに後悔するならば行って後悔する"

雛鶴もまたこの戦いに命をかける覚悟をしているのだろう。
それならば…と、ほの花のするべき事は決まった。



「一人で行くのは駄目です。雛鶴さんは病み上がりなんです。」


「…ほの花さん…!!」


「だから…私が一緒に行き、雛鶴さんをお守りします。」


「…なっ、ほの花さん!!」



雛鶴は一人で行くつもりだった。
増えれば増えるほど守るものが増えるのは目に見えていたから。


「だ、駄目です!ほの花さんに万が一のことがあったら天元様に顔向けできません…!」


「何故ですか?逆でしょう?私の方こそ雛鶴さんに何かあれば師匠に顔向けできません。」


「……え…?あ、……え…?」


雛鶴もまたいまの関係性にだんだんと疑問を感じ始めていた。
宇髄の妻は自分なのに、目の前にいるほの花にもしものことがあったら宇髄が悲しみの底に暮れることが目に見えていたから。


それが何故か?
分からない。
継子の彼女がどれほどの存在感なのか頭よりも体で痛感していたからに他ならない。




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