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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第36章 命の順序





妓夫太郎の妬みは止まらない。
尚もまだ僻むように宇髄を見つめると恨み節を言う。


「お前違うなぁ。今まで殺した柱たちと違う。生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ。選ばれた才能だなぁ。妬ましいなぁ。一刻も早く死んでもらいてぇなぁ…」


だが、宇髄とて全てを受け止められるわけではない。
確かに自分は色男だと認めるが、妬まれるほどの才能があるなんて思ったこともなかったからだ。



「才能…?ハッ!俺に才能なんてもんがあるように見えるか?俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだなぁ?」


何百年生きようが狭いところに閉じこもっていれば世間からは取り残されていく。
その間に世間は変わる。
広いこの国で他に目を向ければすごい人物がたくさんいるのだ。


「得体の知れない奴もいる。刀を握って僅か二月で柱になるような奴もいる。俺が選ばれてる?ふざけんじゃねぇ。俺の手の平から今までどれだけの命が零れたと思ってんだ。」


守れなかった命がどれほどいたか。
守りたい人をちゃんと守れるかどうか言いきれない自分がどれほど悔しいか。


(そう、俺は煉獄のようにはできない。)


上弦の鬼との戦闘の末、死んだ柱仲間。
その戦いの時、一般人は誰も死ななかったと言う。
しかし、この戦いはどうだ?
既に怪我人だけでなく、死者も出ていることだろう。


宇髄は妓夫太郎の言葉を吐き捨てることしかできない。
それでも納得ができない妓夫太郎。
理由はたったひとつ。


「ぐぬぅぅ、だったらどう説明する?お前がまだ死んでない理由はなんだ?俺の血鎌には猛毒があるのに、いつまで経ってもお前は死なねでじゃねぇかぁあ!なぁああ?」


そう。攻撃を喰らったにも関わらず、宇髄がまだ生きていることが腹が立って仕方ないのだ。


「俺は忍の家系だ。耐性つけてるから毒は効かねぇ。」


毒は効かない。
そう、宇髄は一般的な毒は効かない。
でも、いつだったか耐性がついてない奴が毒を服用して死にかけたことがあった気がした。

それが誰だったか?
こんな時にそんなことを思い出すなんてどうかしていると思いながらも、宇髄の頭の中は昔の記憶に足を踏み入れようとしていた。


しかし、それを止めたのは堕姫の声だった。



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