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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第36章 命の順序




「歩けるか?」

「あ、はい!」


宇髄はほの花に動けるかどうかの確認をして、頷いたのを見ると手をがっちりと繋いで元いたところに戻っていく。

突然の"手繋ぎ"にほの花は動揺するが、此処で振り払うことも失礼なような気がしてなされるがままについて行った。


「よし、まきを、須磨。派手にやったみてぇだな。流石だぜ。」


そう言うとぽんぽんと二人の頭を撫でて笑顔を向けた。
先ほどまでの恐怖が一気に消え失せた須磨は泣き崩れ、まきをも薄っすらと目に涙が溜まっている。


その間もほの花の手は繋がれたままで居心地の悪さから目の前に広がる光景から目を逸らした。


(…手、離してくれないかな。気まず…。)


そんなほの花の心内を知りもしない宇髄は泣いている自分の嫁を宥め始める。
しかし、その様子に終止符を打ったのはほの花でも宇髄でもなく、一人の男だった。


「オイィィ‼︎祭りの神ィィッ!蚯蚓共が穴から散って逃げたぞ!!」


「うるっせぇぇ!捕まってた奴らは全員助けたんだからいいだろうが!まずは俺を崇め讃えろ!話はそれからだ!」


せっかく感動の再会をしている最中に水を差すようなことを言う伊之助に宇髄は腹を立てたが、そもそもほの花を助けてから随分と時間が経過している。


「…あ、あの…師匠。御言葉ですが早くしないと被害が拡大するんじゃ…?」

「…野郎ども!追うぞ!ついてこい!さっさとしろ!!」


ほの花の言葉に顔を引き攣らせた宇髄がようやく振り返って二人は目を合わせる。
"さっさとしろ"と言う割にはその見つめ合いは何なのだと周りから突っ込まれそうでほの花は戦々恐々としている。


「アイツらに狙われてる理由は知らねぇが、お前自身も守れ。いいな?さっき言った命令以外にもう一つ付け足すから耳の穴かっぽじってよく聞け。」

「へ…?は、はい!!」

「ほの花、死んだらぶっ殺す!!」


その言葉はほの花が恋仲だった頃の宇髄によく言われた言葉。
甦るあの時の記憶にほの花は胸がいっぱいになった。

頷くだけで声は出ない。出すと泣いてしまいそうだったから。
それでも、頷いたほの花を見ると納得したように伊之助と善逸を連れてその場から去っていった宇髄を見えなくなるまで見つめた。
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