第7章 君は陽だまり
お仕置きを受けたら許してくれると言うが、一体なんのお仕置きなのだ。
足は捻挫していて、鍛錬を増やされれば治癒期間が長くかかってしまうこと間違いなしだが、宇髄さんのこの怪しげに笑う表情はどことなくそう言う類のものではないと安易に予感させる。
「…な、なんのお仕置き、ですか?」
「背中に"宇髄天元の女"って紙貼って街を練り歩く。」
「んなぁっ?!そ、そんなの嫌ですっ!恥ずかしすぎます!」
「恥ずかしいだと?俺の女が恥ずかしいっつーのか?!」
「違いますーー!紙を背中に貼る行為が恥ずかしいって言ってるんですーー!」
何故そこでそんな考えが頭をよぎるのか宇髄さんの頭をのぞいてみたい。
普通に考えたら嫌じゃないの?背中に紙貼った女が自分の女なんて。
あ…まさかこの人派手好きだから気にならないの…?
「だが、お仕置きなんだからやるしかねぇよなぁ?」
「ほ、他の!他のお仕置きないですか?!」
「他の、ねぇ…?」
もうこの時点で宇髄さんが私のことをおちょくっているというのは分かりきってしまう。
だってそうじゃなければこんな風に「よし来た!ニヤリ」な顔しないはず。
今のは完全に適当に言ったやつだ…。
ということは…私はまんまと彼の罠に嵌められたと言うこと?
「あ、と、とりあえず!陽も落ちてしまうし、家に帰りましょう!ほら!寒いし!」
宇髄さんの腕を引っ張り、前に進もうとするが、簡単に抱き上げられてしまい、再び彼の腕の中に舞い戻る。
「足痛いんだろ?じゃあ、可愛いほの花ちゃんのお仕置き考えながら帰るかなぁ〜?」
「…なんか…良からぬこと考えてます…?」
「さぁてね?」
抱き上げられてしまえば、彼の顔が至近距離で見えるわけで色気たっぷりのご尊顔に口元だけ笑みを浮かべる宇髄さんに簡単に目を奪われる。
怪我をしていたから宇髄さんが助けてくれたけど、怪我をしていたから早く帰れなくてお仕置きを受ける羽目になったのならどちらが良かったのか最早分からない。