第7章 君は陽だまり
突然のほの花の発言に驚いた。
「…宇髄さん、おかえりなさい。会いたかった…。」
心配して来てみれば、男に言い寄られてるわ、露出度高い服で彷徨くわ、挙句の果てに足を捻挫してるたぁ、どれだけ俺に心配させりゃ気が済むんだと苦言は止まることを知らず…
のはずなのに、俺の顔を見ながらそんな言葉を言われてしまえば怒りはどこへやら。
柔らかい笑顔を向けるほの花の腕を力一杯引き寄せると自分の胸に掻き抱いた。
俺だって会いたかった。
会いたかったから探しに来たのだから。
それなのに可愛い顔して先にそんなこと言われちまえば愛おしくてたまらなくなるのは仕方ないだろ。
ほの花を抱きしめるとやっと帰ってきたと思う。甘い花の匂いが心を安らかにする。
あの男には腹立つが、ここはほの花のこの可愛さに免じて許してやるか。
「…俺にこんなに心配かけて悪い子だなぁ、ほの花は。」
「う…そ、それはごめんなさい。でも、西洋薬草探してたんだけどどこにも売ってなくて焦っちゃいました。」
「だとしても俺がいない日に限ってその短い隊服で脚出して男引き寄せてちゃ世話ないよなぁ?」
ぐうの音も出ないほの花は腕の中でシュンと俯いたのが分かる。
まぁ、そこまで怒っちゃいないが、お仕置きは受けてもらうぞ。
じゃないと俺の気が治らないからな。
「お仕置き受けたら許してやるよ。」
「え、お仕置き…、ですか?」
あからさまに嫌そうな顔をするほの花にこちらのが不満なのだとどう言えば伝わる?
こちとらまだ口づけ止まりだと言うのにそんな脚を惜しげもなく晒しているだけでなく、胸元も隠せてないと言わないとわからないのだろうか。
それなのに今し方そこにいた男だけにとどまらず無防備に歩き回って、いろんな男に見せてきやがって…。
腕っぷしはいいが、それとこれとは話が別だ。
俺は見せびらかしたいほどほの花を可愛いと思っているが、実際には見せびらかすなど御免だ。
コイツの視界には男は俺一人で十分だという独占欲の塊しかない。