第7章 君は陽だまり
「た、隊服できたみたいで…。」
「見りゃわかるわ。その丈の短さは何だ。」
「あの、はい…だから私なりに露出を控えめにしたくていろいろと創意工夫を…。」
「隠せてねぇだろ。何だ?この脚は…?」
するとスカートの下に出ていた脚をツーっ、と指で触れる宇髄さん。
その触り方が優しいのに、何だか熱っぽい視線に心臓の拍動が止まらない。
「俺以外に見せてんじゃねぇよ。俺だってこの脚はまだ一回しか見てねぇのに。」
「す、すみません…!」
「似合ってんだけどなぁ…。他の野郎も見ているかと思うと悩ましいところだな。」
天を仰ぎため息が漏れ出る宇髄さんに肩を竦ませた。でも、"似合ってる"と言う言葉がもらえただけでもちょっと顔がニヤけてしまう。
やはり想い人にはよく思われたい。
「つーか、お前な。あれくらいの男ならぶっ殺せ…なくともぶん殴って走って帰ってこい!わざわざご丁寧に話を聞いてやる馬鹿がどこにいんだよ。」
「それは…ご尤もなんですけど…。」
「…なんだよ。」
「実は足を捻挫しておりまして。」
「はぁぁあ?!いつ?どこで?」
「昨日…ですが、離すと長くなりますがどこから話せばいいですか?」
蜜璃ちゃんに会ったことを言うのであれば、隊服を持ってきてくれたところから話さないとわからない。しかし、こうなったことの事情というか言い訳は自分の中では整っているので話してもいいのであれば全て話したい。
すぐに脚の状態を確認するために私の前に屈むとブーツを脱がせてくれる。
ヒヤリと外の空気に触れて冷たいが、触れてくれる宇髄さんの手が温かいので不思議と寒くはない。
「あーあー、腫れてんじゃねぇか。全く、お前は…。」
怒らせてしまっている状況下ではあるが、宇髄さんが目の前にいるというのがとても嬉しい。
帰ってきたんだと分かるから。
あの人よりも私のがよっぽど空気読めないかもしれない。
「…宇髄さん、おかえりなさい。会いたかった…。」
足の心配をしてくれている宇髄さんが目を見開いてこちらを見た時に迷惑をかけたばかりだというのに突然の場違いな発言だったと気付いたが、既に言ってしまったものは仕方ない。
怒られるかと思いきや、私は彼の逞ましい腕の中に抱きしめられた。