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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第36章 命の順序



──萩本屋


伊之助はまきをと隆元の情報を探っていた。
そもそも伊之助にとって建物の中で暮らす、着物を着るなどという行為は拷問に近い。

しかも、宇髄から声が太いから喋るなと言われているため情報収集にも支障をきたしていた。


「まきをさん、大丈夫かしらね。」

「元々使用人だった隆元さんが看病してるみたいだけど…二人して全然出てこなくてどうしちゃったのかしら。」

「まさか…二人で足抜けを目論んでるとか…?」


そんな中、萩本屋の中を偵察がてら歩いている伊之助の耳に聞き覚えのある名前が聞こえた。


(…"まきを"宇髄の嫁だ。)


此処に来てようやく名前を聴けたことに少なからず胸を撫で下ろす。
耳を澄ませて女性達の会話に聞く耳を立てていると、初めて情報が降ってきた。


まきをが具合が悪くて部屋に閉じこもっていること。
それを看病するために隆元も付き添ってること。
そして二人が"足抜け"をするかもしれないと噂されていること。
しかも、病院にも行かず閉じこもってるだけだという。


(…本当に具合悪いんならほの花に来てもらうか?だが、具合が悪いくらいで連絡が途絶えるか?)


伊之助は不思議に思いながらもまきをの部屋に行ってみることにした。




✳︎✳︎✳︎






「さぁ、お前達は誰に手紙を送ろうとしてたんだい?まきを。隆元。」

まきをと隆元に語りかけるのは帯。
部屋中を張り巡らされているそれは誰かが操っているようにギリギリと二人を締め付けている。

痛めつけられながらも必死に考えるのは宇髄との連絡方法。


(…情報を伝えなくては…他の四人とも連絡が取れなくなってる…!)


隣同士で磔にされているまきをと隆元は目を合わせるが打開策はない。
武器はあるが、それごと巻き付けられていて身動きが取れないのだ。



しかし、その時、帯が何者かがその部屋に近づいていることを察知する。
伊之助だ。


二人の体に巻き付いている帯を激しく締め付けると「騒ぐな」と忠告をする。


「っぐっ…!!」


「まきをさん…!大丈夫ですか?」


「喋るんじゃない!」


なす術もなく二人は息を殺して堪えるしかない。
此処で死んでは情報は水の泡だからだ。


必死に声を押し殺し、痛みに耐える二人だったが伊之助の思い切りの良さには定評がある。
猪突猛進だ。

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