第7章 君は陽だまり
本当ならばもっと時間をかけて痛ぶってやろうと思っていたのに、前から抱きついてきたほの花がそれをさせない。
喜一という男を庇っているわけではないと分かってはいるがどうも面白くない。
こんな男を庇うなんざどうかしてる。
「ほの花、分かったからちょっと離せ。」
動物を宥めるみてぇにトントンとリズムよく背中を手で撫でてくるほの花を一旦離すと、まじまじと上から下まで見てやる。
いや、よく見ると上も薄い布で覆われてはいるものの乳が透けて見えてんじゃねぇか。
俺ですらまだそこは見ていないと言うのに。
脚も惜しげもなく晒されていてこれを他の男が見たかと思うと怒りで気が遠くなりそうだ。
そんな俺の心の内などわかるわけもないほの花はキョトンと見上げてくるので少しばかりお仕置きをしてやろうと思った。
頬に手を置くとそのまま首を引き寄せ、その男の目の前で口付けをしてやった。
「んん!?う、ず…さ…?!」
「黙ってろ。」
形のいい唇に俺のそれを押し付けると柔らかい感触と温かさを感じる。
角度を変えて何度も繰り返されるそれに最初は抵抗気味だったほの花もだんだんおとなしくなっていき、次第に俺の腕に体を預けていく。
ほの花のその様子を見て漸く落ち着いた俺は唇を離して、一連の状況を見せつけてやった男を再び見下ろしてやる。
「今回は大目に見るが、次うちのほの花に付き纏ってみろ。本当に血祭りにあげてやるからな。分かったらとっとと帰れ。」
「は、は、は、はぃいいい!す、すみませんでしたぁ!!」
腰を抜かしているため赤子のように四足歩行で必死に俺から離れていこうとするその男の姿は滑稽だが、可哀想とも思わない。
お前は俺の女に手を出そうとした。
その罪は重い。俺に殴られなかっただけでも助かったと思ってもらいたいところだ。