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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第35章 約束



宇髄さんの言葉を待つことなく、私は部屋に戻ってくると善逸が布団にくるまって寝ていた。

その横の布団に横になるとぼんやりと天井を見上げた。

これが正しかったのか…分からなくなってきた。
宇髄さんの言う通り、家に帰った方が良かったのかもしれない。


"お前も嫁になればいい"なんて言わせてしまった。それを聞いた瞬間、この周りを巻き込んだ作戦は失敗に終わったと言ってもいい。


「…何…やってんだろ…、わたし」


宇髄さんを守るため
死んでほしくないから重荷になりたくない。

だから記憶を消したのに…結局、あの日体を許したから宇髄さんはこんなことを言い出したんだ。



何もかも自分のせい。
何やってるんだ。

あんなに慎重に行動していたのに。

しのぶさんにも
不死川さんにも
他の柱の皆様にも
炭治郎たちにも


そして、瑠璃さんにまで協力してもらったくせに



このザマは何だ。
私はこんなことがしたかったのか?


理想は私のことを気にせず、此処に送り出してくれて私を継子として使ってくれることだった。

しかし、これではもう難しい。
私が戦いの場に出れば、彼は少なからず私を気にしてしまうだろう。



人生って本当に上手くいかない。
私のしたことって無駄だったのかな。


こんなことならば普通に別れた方がよかったのかもしれない。
面倒なことせずに。
宇髄さんは記憶がない中で何を思っているのだろう。
何かに勘付いているのだろうか。

「宇髄さんはさ…」


すると、急に隣から善逸の声が聴こえて慌てて振り向く。
彼もまた天井を見上げたままボーッとしている。
何の話なのか分からないが、彼の言葉を待つため私も同じように再び天井を見上げた。


「…ほの花のこと、思い出しかけてると思う、よ。」

「…え?!」


その言葉にわたしは体を起こして善逸に視線を向けた。
そんな筈はない。
私は幼い頃の記憶はないところは今でも思い出せないのだ。

それなのに思い出すなんてことあるわけない。



「…俺、耳がいいじゃん?聴こえちゃったんだ。」


「え?」


「宇髄さんが俺らを此処に送り出す時、ほの花に向かって『そばにいるって約束しただろ?』って言ったのを。」


それは

私と宇髄さんが恋仲の時に約束したこと。


頭が

真っ白になって

手が震えた。
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