第35章 約束
──お前にしか反応しない
そうだ。
何故かは分からない。
でも、ほの花にしか反応しないのだ。
風呂で勃起しちまった時もほの花のことを思い浮かべたから。
まきをを抱こうとしても反応しなくて、その後ほの花を思い浮かべると滾っていった。
「わ、私しか反応しない、なんてことはないかと…」
「…そう言われてもよ。事実なんだから仕方ねぇだろ。」
「…きっと疲れていたんですよ。その内、お元気になられるかと…!」
疲れていた?
それならばお前を抱いた時が任務帰りで一番疲れていた。
それなのに朝方まで抱き続けた俺をどう説明するつもりだ。
「その内、ねぇ…。それまでどうすりゃいいんだよ。お前はもう相手してくんねぇの?」
こんな爽やかな朝方に話すような内容ではないことは重々承知しているが、ほの花とのまぐわいを忘れたことなんて一度もない。
あれほどまでに情交に溺れたことなんて初めてのことだったから。
ほの花をチラッと見ながらさりげなく自分の希望を伝えてみてもキョトンとした顔をして曖昧に笑った。
「…え、と…、精力増強剤など如何でしょうか。」
「別に性欲ねぇわけじゃねぇんだって。」
「…あ、そ、そうですか。」
「なぁ…ほの花。」
誘うような口振りでほの花の手を繋ぐが、それはすぐに振り払われてしまう。
「…師匠、私はもう…シません。ごめんなさい。どうしても…と仰るのであれば…口淫なら…させていただきます。」
ほの花は体を簡単に開くような奴ではない。
そう思っていたのに命令だと言えば俺に抱かれた。
ならば此処でももう一押しすれば俺に抱かれるのかと思った。
もう一度、いや、何度だってほの花とならばまぐわいたい。
そう思っているのは俺だけなのか?
お前はもう俺とはシたくないのか?
「…そんなのはまぐわいじゃねぇだろ。」
「ならば…シません。奥様を大切にして下さいと言ったじゃないですか。」
「ならお前も嫁になればいいだろ。」
「なりません。」
「…命令「命令でも致しません。」
とんでもないことをサラッと言ってやったのにほの花が頷くことはない。
それどころか俺との未来を完全に否定する言葉に俺は衝撃を受けた。