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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第2章 興味本位




こんな往来のある道で嘔吐してる女とそれを受け止める俺。
自分はまだ吐かれてる側なので哀れみの視線を向けられているのは分かるが、コイツは恐らく嫁入り前の女だ。流石に不憫に思い、持っていた手ぬぐいで顔を隠してやる。

幸いなのか、最悪なのか…
嘔吐物な道には少しも落ちておらず、自分の胸で全て受け止めた様子。
こうなってしまえば自分の体がデカくて良かったととんだ"お人好し"な感情が芽生えていてむず痒い。

こんな女に声をかけなければよかったと思ったが、震える手が俺の服を申し訳程度に掴んでいることがこんな状況なのに少しだけ"嬉しい"と感じてしまった。

いま、自分だけが彼女に頼りにされていると言う優越感からなのか。
しかし、その感情が正しいのかも分からない。


暫くすると呼吸も落ち着いてきたようだったのでポンポン…と背中を優しく撫でると声をかけてみた。


「…吐き切ったか。」

「うぇ、あ、は、はい!も、申し訳ありません…!!御召し物を弁償させてください…!」


酷く申し訳なさそうに手で口を覆うと頭を地面につけそうなほど謝ってくる。まるでこの俺様が土下座させてるみたいで気に食わなくてすぐに顔を上げさせると、不思議そうにこちらを見遣る。

女は小さな顔に大きな瞳、形のいい鼻に朝露のようにぷるんとした小さな口。
思った通り、見たことがないほどの美しい容姿にマジマジと顔を眺めてしまう。


「まぁ、急に声をかけた俺も悪かったから気にするな。もう大丈夫か。」

「だ、駄目です!えと…あ、店の中にお財布があるのでお金を取ってきます!待っていてください!」


知らない男の胸に勢いよく吐いた割には礼儀がちゃんとしているその女はよく見ると身なりも品があるし、この状況が恐らく単なる体調不良によるものだと言う答えに行き着くと妙に納得できた。

しかし、勝手にしたことなのだから女に弁償してもらうような事象じゃないと彼女が店に入っていくと屋根の上に飛び乗り、身を隠した。


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