第35章 約束
私は昨日宇髄さんに抱かれた。
それが何を意味しているのか。
奥様達への不義を意味する。
宇髄さんが遊郭に潜入すると聞いた時に一番に気になったのは不義のこと。
奥様がいながら他の女性とそう言う行為をすることが許せないと感じてしまった。
しかし、それはまわりまわって、自分のためだった。
ただ私は、奥様三人以外との行為なんて嫌だった。奥様達とのことは自分の中で折り合いを付けたつもりだった。
それなのに遊女の方とのまぐわいなんて想定外すぎた。
嫌だった。
どうしても…。
自分勝手とは思いながら宇髄さんのことを愛している私からすれば、耐え難いことだった。
だから奥様達とのことを引き合いにして止めてしまった。
結局、潜入調査には行ってしまったのだから、多くの女性とそう言う行為をしてきたのだろう。
考えないようにするため必死になるかと思いきや、帰ってきたすぐに奥様達と正宗達が入れ替わるように潜入調査に行ってしまった。
今度はたった二人きりでひとつ屋根の下で暮らさなければいけないという地獄が待っていた。
地獄とは語弊を生むかもしれないが、本来ならば嬉しくないわけがない。
でも、奥様達がいない屋敷で主人と二人きり。
自分はその主人のことを想っている不埒な継子。
気持ちが再び燃え上がってしまうのではないかと気が気でなかった。
自戒心が保てるのか分からなかった。
でも……案の定、保てなかった。
宇髄さん、私ね…?
本当はずっとあなたに触れられたかった。
口づけされたかった。
抱かれたかった。
でも、我慢していた。
これからもずっとずっと続いていくことだから。
我慢できたのに…。
宇髄さんに強引に口づけされてしまったらどんどん全身に纏っていた鎧が剥がされていったんだ。
好きだから
大好きだから
愛してるから
好きな人からそんなことされて喜ばない人はいないでしょう?
私だってそう。
一度だけ。
これが最後にするから…と。
最初こそ拒んでいた私だけど、だんだんと彼との行為に没頭してしまった。
ただ膣内射精をされたことは正直焦った。そんな証拠として残るようなことをして欲しくなかったから。
でも、翌日すぐに…やはり彼とは結ばれない運命なのだと思わざるを得ないことが起こった。