第34章 世界で一番大切な"師匠"※
「その方と、私のどこが似ているんですか?恋人を失ったと言うところだけではないですか。」
少しだけムッとした表情をしたほの花だが、俺も始めてしまったからには引くに引けなくなっていた。
「似てはいねぇよ。恋人を失って引き摺ってる女がいたってとこが同じだと思っただけだ。」
「…そんな中、遊郭で男性のお世話をしなければいけないなんて大変なお仕事ですね。私にはとてもできません。」
売り言葉に買い言葉
まさにそんな感じだが、ほの花もよく分からないが癇に障ったのか怒っているようだった。
「そりゃ、お前にはできねぇだろうな。割り切って仕事をしていたアイツは大したもんだ。お前みたいにウジウジと引き摺ってる奴とは覚悟が違うわ。」
「…師匠、どういう意味なのか分かりかねます」
「…いい加減忘れろ。過去の男のことなんて。生きてるお前がいつまで経っても死んだ奴を想っていて何になる。」
「…師匠にご迷惑をかけたでしょうか?私は彼以外愛せませんし、彼以外のところに嫁ぎたくもないんです。一生彼だけを愛し続けます。今世も来世もずっと彼だけが私の恋人です。」
捲し立てるようにそう言い放ったほの花がそのまま部屋から出て行こうとしたので、俺はその手を掴んだ。
「っ離して下さい!!」
「お前、いい加減にしろよ?目を覚ませ。そんな男のことなんて忘れちまえ!」
「約束したんです!一生愛し続けるって!師匠に関係ないじゃないですか!」
一生?
そいつだけを想い続けるだと?
そんなことは許さない。
責任取れよ。
こっちはお前のせいで迷惑ばかりかけられている。
ギリ、と掴んだ手を握り締めると痛みからか少し顔を歪めるほの花。
それに構うこともなく、その手を引っ張ると俺は許可もなくほの花の唇に口づけをした。
「っ?!ふ、んっ!ふ、っっ!!」
必死に離れようと力を込めてくるが、そんな力で俺に叶うはずがないだろう?
無遠慮に舌まで差し込んでやれば、悲しいほど熱く激っていく肉棒が恨めしい。
もう止められない。
目尻から溢れていた涙を見ないふりをすると綺麗に敷かれた布団の上にほの花を押し倒した。
初めてのはずなのに、何故かとても懐かしく感じた。