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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第34章 世界で一番大切な"師匠"※





「…忘れ薬を、飲ませた…だぁ?」


「……そうです。」



あまりに針の筵状態でピリピリと空気が痛い。
愼寿郎さんの目が怖い。
見透かされていそうな目で私を突き刺している。怖いなら何故言ったのだ?
言わなきゃよかっただけの話。

それなのに口から出てしまった。
自分のしてしまったことを正当化したかったのか?
それとも自分の気持ちから逃げるなと言われて言い訳に困ったのか?

恐らくどちらも。


どちらにしても最低なことをした。
罪に罪を重ねてどうするつもりなのだ。
だけど、罪を償う機会とも思ったのかもしれない。

最低な行いを他人に話せば、私を責めてくれる。
鬼殺隊の人たちは誰も責めない。
柱である宇髄さんの重要性を知っているからだ。


だけど、瑠璃さんは私を真正面から怒ってくれた。そのおかげで私は自分の身の振り方を改めることができた。


責めていい。
責めてほしい。


そうしなければ甘えてしまう。
優しさに。

それほどまでに罪は重い。


私は下に向けていた視線を真っ直ぐに彼に向けた。
逃げない。
自分のしたことから。


「…自分を愛した男を裏切ったのか。」


「はい。そうです。」


「…自分の得意分野でか。」


「間違いありません。」


絶対に目を逸らさない。
絶対に逃げない。

もう逃げたくない。
もう嘘をつきたくない。



「最低な女だな。三人の嫁を捨て、お前のような女を愛したアイツはとんでもない愚か者だ。」


「…愚か者は私、ただ一人です。」


「…出て行け。そんな女の薬など飲みたくもない。」


「…ですが…」


「出て行けと言っておるだろう!!この腐れ女が!!」


燃えるような瞳は元炎柱故か。
ビリビリと痛い空気にたじろぐ私はまだ弱い証拠だ。


「此処に置いておきます。千寿郎さんにも…」


「お前のような卑怯者の薬など全て捨ててやる!鬼殺隊の恥晒しめ!!出て行け!二度と此処に来るんじゃねぇ!」


近くに置いておいた薬を引っ掴むと全力で私に投げつけてきた彼を見て、これが正しい反応だと頷く。


愼寿郎さんは間違っていない。


鬼である珠世さんの力を借りて愛している人の記憶を消すなんて鬼殺隊の恥晒しと言われても仕方ないこと。


やっと正当な評価をもらえた。

これが…今の私だ。


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