第7章 君は陽だまり
結局、蜜璃ちゃんが肩を貸してくれて三人で家まで送ってくれているのだが、伊黒さんがしきりに「宇髄には俺が触れてないことをちゃんと言っておけ。」と念を押されるので不思議に思ってしまう。
宇髄さんは確かに男性に言い寄られたら…という仮説には物騒な物言いをしていたが、今回のは人助けだ。咄嗟に出た自分が考えた言い訳なのにまるで本当に私に触れたら宇髄さんに怒られるような言い方をするのは何故だろうか。
でも、二人を見ているととてもほんわかしてしまって早く宇髄さんに会いたくなってしまう。
「買い物でも行っていたのか?」
「そうなの!ほの花ちゃんの隊服もすごく短かったから伊黒さんがくれた靴下のように足が隠れるものを買いに行ってきたの!」
「ああ、そうだったのか。せいぜい宇髄に怒られないといいな。」
「え、え?お、怒られる、とは…?」
今の話の流れで何故怒られるという行為に通ずるのだろうか。宇髄さんは買い物に行くと怒るの?意味がわからない私は表情にそれが出ていたのだろう。伊黒さんはため息を吐くとちゃんと答えを教えてくれた。
「宇髄は神楽に関しては独占欲強いからな。そんな丈の短い隊服着てたら他の男に見せるなと目くじら立てて怒る気しかしないのだが。」
「伊黒さんったら鋭いわ!確かに宇髄さんなら怒りそうだわーー!」
え、そうなの?
私よりこの人たちのが宇髄さんとの付き合いは長いのだから言っていることはきっとあながち間違いではないのだと思うが、恋仲になって間もない私からしたら二人の話自体がとても新鮮。
知らない宇髄さんを知れる喜びのが大きかったように思う。
「えと、じゃあ怒られないようになるべく長めにして着ることにします。」
「そうしてくれ。漏れなく柱は奴の八つ当たりを受ける羽目になるからな。何度も言うが今回送るのも甘露寺と三人だったと必ず言え。分かったな。」
「わ、わかりました。」
伊黒さんがあまりに念押しをするので若干彼が帰ってくるのが不安になったが、私は帰るとすぐに丈の短い隊服を露出控えめに着るための創意工夫を凝らすことに没頭したのだった。