第34章 世界で一番大切な"師匠"※
「そんなこと簡単よ。此処にきた時、一度会ったからよ。」
「………はぁ?!?!何で…?つーか俺にも会わせたことねぇんだろ?!ふざけんなよ!何でコイツに先に会わせた?!」
俺は今まで会ったことがないソイツにずっとずっとずっとヤキモキしていたと言うのにコイツはいま、会ったことがあるとさらっと言いやがった。
「そんなこと言ってもねぇ、たまたま会ってるところに出くわしちゃったのよ。ねぇ?」
「あ…、う、はい…。お恥ずかしながら…」
「……何で俺には恋人のことちっとも言わねぇわけ?」
「だ、だって…!絶対、師匠…揶揄ってくると思って…!」
「だから私が恋の相談に乗っていたの。さっきもその話を聞いてビックリして慰めてたらこんな時間になっちゃったのよ。私しかその人に会ったことないからね。込み上げちゃったのよ。」
そうやって言われてみればほの花の顔は泣いた跡があるように見える。
目も赤いし、擦ったのだろうか頬も赤い。
「……揶揄ったりしねぇよ。だから教えろ。」
「…あんた、馬鹿なの?傷心のほの花になんて事いうのよ。いまはソッとしておきなさい。女心わかってないわね。」
「はぁ?!何でお前は良くて俺は駄目なんだよ!」
「そんなの同性だからに決まってんでしょ?女同士のが話が分かり合えるの。当然じゃない。」
俺と瑠璃の剣幕におどおどしているほの花だったけど、恋人の話が出たからか確かに少し悲しそうに笑う。
時期尚早、だったのか?
まだ駄目なのか?
いつになったら話してくれるのだ。
どんな男だったか知りたいだけだと言うのに。
「…大体何でお前は此処にいるんだよ。雛鶴達も此処に来た事を知らなかったぞ。」
「ああ、この前は会ってないもの。天元とも外で会ったの。隣にあの子達はいなかったわ。だから此処には泊まるのは初めてよ?」
「まだ良いとは言ってねぇだろ。」
「何でよ?この前和解したじゃない。あんたのこと許してあげたのよ?そんな態度とって良いわけ?」
強気に振る舞う瑠璃だけどそれは仕方ない。
瑠璃に恨まれるようなことをしたのは間違いないからだ。