第34章 世界で一番大切な"師匠"※
しかし、正宗は首を傾げて唸り始めてしまった。
「…いえ、…うーん。知らない、人だと思ったんですけど…何か知ってるような気もして…。でも、ほの花様のお友達でそのような人はいなかったと思うし…」
正宗が考え込むのと同じように隆元と大進も同じように首を捻った。
「…友達ではねぇってことか?」
「いや!でも…ほの花様は割と社交的な方なので我々が知らないだけでお友達になられていた可能性もあります。」
「里にいた時と違い、交友関係を細かく確認することはしていませんので…。」
「だから元恋人のことも知らなかったんですよ。いや〜、見たかったなぁ。」
口々に出る言葉に色々な可能性が思いつく事態になってしまい、肩を落とした。
これではやはり本人達からしか聴けないではないか。
どうせ瑠璃は此処には来ないだろうと踏んでいたし、ほの花を尋問するしかないと思っていたのに、夜になってもちっとも帰ってこない。
時計を見れば7時を回っている。
女一人でこんな夜遅くまで出歩く馬鹿がいるか?
そもそもアイツは外見はクソ可愛いんだから大人しくしていて欲しいものだ。
鬼は斬れても人間に襲われる可能性だって…
まぁ、人間なら余計に倒せるだろうけど。
まさか朝帰りするつもりじゃないだろうな。
瑠璃と一緒なのか?
いや、ひょっとしたら男…?!
男と逢引でもしてんじゃねぇだろうな?
ふざけんなよ、俺を待たせておきながら。
男と逢引するなんて……
だから何言ってんだよ、俺は。
ほの花は弟子だ。
でも、大切な継子だから。
変な男に引っ掛かってもらっては困る。
この宇髄天元様直々に見極めてやらねぇと気が済まない。
それだけだ。
心の中で最近では日常になりつつある言い訳をしているが、居ても立っても居られなくなった俺は家を飛び出して玄関の前で待つことにした。
此処にいればほの花の足音が聴こえればすぐに分かる。
誰かに襲われていたらすぐに助けられる。
兎に角、聴きたいことは山ほどあるが、帰ってきて欲しかった。
あまりに帰宅時間が遅いことで俺は此処に二度と帰ってこない気ではないかと気が気でなはなかったのだ。