第7章 君は陽だまり
「あら、あそこのお店はどう?」
蜜璃ちゃんと話しながらお店を物色していると女性用の服や雑貨を取り扱っているお店が目に入った。
モスリンを下に履くとしても、私も蜜璃ちゃんみたいに靴下みたいなの履きたいなぁと思っていたので店内を物色する。
蜜璃ちゃんと似たような膝上まである長い靴下
ふくらはぎが隠れる丈の靴下
くるぶしまで隠れるような短い物も…
でも、いまいちピンと来なかった私はキョロキョロと他の品物を見始めるとふくらはぎが隠れる程度の履き物が目に入った。
手に取ってみると茶色のそれはそこまで派手でもなく踵も高くないので動きやすそうだ。
「あら、それ良いわねぇ!ブーツって言うみたいよ!ほの花ちゃんにとても似合いそう!」
「ありがとう!履いてみて良かったらこれにしようかなぁ?」
「そうね!履いてみて?」
店主に試着を申し出るとすぐに履かせてくれて大きさもちょうど良かったのでそれを購入していくことにした。
お会計も済み、蜜璃ちゃんを探していると店内で熱心に何かを手に取り見つめていた。
その手の中には便箋の数々。
お手紙でも書くのだろうか?
あまりに真剣に選んでいたので声をかけるのを躊躇ってしまう。
「…蜜璃ちゃん?お手紙書くの?」
「え?!あ、そ、そうなの!伊黒さんにお返事書こうと思ったんだけど、ちょうど便箋切らしてたからどれにしようか悩んでたのよ〜!」
「お手紙やり取りしてるの?」
「そうなの!伊黒さんってね、とっても優しいのよ〜?宇髄さんにも負けてないと思うわ!」
そう言って笑う蜜璃ちゃんは頬を髪と同じ桃色にしてすごく可愛らしかった。伊黒さんってさっきも縞々の靴下をくれたと言っていた人だ。
柱の人だとは思うけど、顔をしっかり見ていないのでうっすらとしか思い出せない。
「買ってくるね!」とお会計をしに行く蜜璃ちゃんの手にはたくさんの便箋。
人と文通なんてしたことがなかったのでいろんな愛の育み方があるのだと新しい発見だった。