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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第34章 世界で一番大切な"師匠"※





「な、な、何ですか…?」


「何で隠すんだよ。」


いまが好機だと思った。
ずっと聞きたかった。ほの花の好きな男のこと。
恋人だった男のこと。

今まで隠されていたわけではないが、何故か聞いてはいけない雰囲気を醸し出していた。

だから聞きたくとも聞けなかった。
だけどたまたま恋人の話題ができたからこれを逃すことはない。


「隠してません…!話したく、ないからです。」


初めてほの花から本音が出た気がした。

"話したくない"

今までそんなにハッキリと否定したことなんてあっただろうか。
いつもニコニコしているほの花。
師匠である俺に気を遣ってくれているし、俺を立ててくれているのは間違いない。

それなのに俺の頼みをきっぱり断った。
いや、もう一つある。それはあの三人の嫁関係だ。


恋人の存在、三人の嫁達が絡むと途端にほの花は口籠ったり、ハッキリものを言ったりする。


「まだ…忘れられねぇの?」


「…やめましょう。お願いします。話したくないんです。」


「時間は進んでいくぞ。お前が生きてる限り。」


そうだ。
ほの花だけがその場に取り残されているような感覚なんだ。
恋人を忘れられないからなのかもしれない。

でも、それだけなのか?
どうして…お前はそんなにその男に固執するんだ?


「死んだ人間は生き返らねぇ。だからお前も…」


「あれ?天元とほの花じゃない。」


ほの花と屋根の上で話している最中、下から聴こえてきた声に二人でそちらを見下ろした。

そこにいたのは此処に居るはずのない人間。
しかも…ほの花のことを知るはずのない人間だ。


それなのに…アイツはコイツを知っている…?


「瑠璃さん!!!」


突然の瑠璃の出現で驚いて、掴んでいた手が緩んだところでほの花が勢いよくそれを振り払って下に降りていってしまった。


ほの花もまた瑠璃を知っている様子。
何故?
一体何故だ。


分からないまま狼狽えているとほの花が瑠璃の手を引いて「先に帰ります!」と言って全力疾走で行ってしまった。


そこに取り残された俺は状況が把握できずに途方に暮れるしかなかった。



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