第34章 世界で一番大切な"師匠"※
「え、え、本当にいいの?!いいんだね?!後悔しないね?!俺たち殺されないよね?!」
鰻を食べ終えたら善逸がまた縋りついてきたけど、問答無用で宇髄さんからもらったお金で支払いをした。
伊之助が何杯もおかわりしてたから足りなかったけどそれは私が出したけど、ほんの少しだけ。
「大丈夫だって〜!心配いらないよ〜。宇髄さんが好意でくれたんだもん。甘えておこうよ。ね?」
「んー。じゃあ、ありがとう!宇髄さんに宜しく伝えてね?」
「うん!もちろん!」
口々に私に御礼を言ってくれるけど、お金の持ち主は宇髄さんだ。それを帰ったらちゃんと伝えるのが私の役目。
「ああああ…、ずっとしてるなぁ…もう何なんだよ、この音…!こええよぉぉ…!何処かで誰か見張ってんのかなぁあああ…俺狙われてる?!鬼に!?」
「だーかーら!昼だって。確かに変な匂いはするけど危害は加えてこないと思うよ。俺たちは無関係なんじゃないかな?」
「そうかぁああ?本当にそう思うなぁあああ?!俺には殺意を感じるんだぁああ!!」
「ヒィィィ!」と言いながら私の腰に抱きついて離れない善逸に、本当は甘味とか行きたかったのに無理そうだなぁと思い、みんなで蝶屋敷に帰ることにした。
「もう、何で私にくっつくの〜?歩きにくいよー。」
「だ、だ、だって!ほの花がこの中で一番強いよねぇえええ??俺を守ってくれるよねェエエエエ?!頼むよぉ〜!!守ってくれよォォ!」
「そんなことないって。みんなと同じくらいだよ。だから守れないかも。逃げちゃうかも。」
「そんな薄情なこと言わないでくれよォオオオオ!ほの花ーーー!!」
益々離れようとしない善逸に流石に困り果てかけた時、私の体が浮いて善逸が下に落ちたのが見えた。
「え…?」
「ひ、ヒィィィィィ!!!きょ、きょ、巨人ーーーーーー!!あああああ…っ…」
何かを見て慄き、その場に泡を吹いて気を失った善逸に驚いていて、体が浮いた理由を確認するのが二の次になってしまった。
でもね、私は炭治郎ほどの嗅覚はないけど、好きな人の匂いなら顔を見なくてもすぐにわかるんだ。