第33章 世界で一番大切な"継子"※
目が覚めるとすっかり暗くなっていて、半日ほど寝ていたことに気付く。
しかも、よく見たら此処は自分の部屋じゃない…?
勢いよく起き上がるとクラクラとしてしまって再び寝台に逆戻りをしてしまったが、ぐるりと見回してみた其処は…
「蝶屋敷…?」
今いる場所が分かると宇髄さんが私を此処に連れて来てくれたのだと分かり、倒れる前のことが思い出された。
確か…宇髄さんが帰って来て、此処に連れてこようとしてくれたのに私が子どもみたいな駄々をこねて…
物凄い暴言を吐いた。
子どもみたいに泣きじゃくりながら。
「…う、わぁ…は、ずかし…!」
顔を覆って羞恥に耐えていると、扉が開く音が聴こえてそちらに目線を向けた。
「あ、し、しのぶさん…!」
「あら、起きたんですか?……あれ…?」
私の顔を見て微笑んですぐに辺りを見回したしのぶさんが首を傾げた。
キョロキョロと何かを探している様子にも見えだけど、いつもの笑顔で近寄って熱の確認のため額に手を添えられた。
ひんやりと冷たいしのぶさんの手が心地良くて目を細める。
「ふふ。冷たいでしょう?つい今手を洗ったばかりなので。…よかった、熱は下がりましたね。」
「…はい。お陰様で。宇髄さんが…連れて来てくれたんですか?」
「ええ、叱っておきましたよ。ほの花さんに酷いこと言ったようなので。」
「え?!あ、いや、その…!わ、私も宇髄さんに酷い事言ってしまって…!子どもみたいに泣き噦ったんです…!もう何やってんだか…」
言葉にすればより恥ずかしい。
何故あんなこと言ってしまったのだろうか。
自分で選んだ道なのに精神的に負荷がかかったからって、あんな風に爆発して宇髄さんに当たるなんて大人げなかった。
帰ったら…謝ろう。
「それでも宇髄さんはあなたの上司に変わりないですから。部下を追い詰めたら駄目なんです。」
しのぶさんがそう笑いながら点滴を外してくれると腕が自由になったので体を伸ばしてみる。
ずっと寝ていたので体が硬くなってる気がした。
「しのぶさん…ありがとう、ございます。」
「ふふ。次からはこの件に関しては迷う事なく此処にきてくださいね?」
意地張ってこんなことになってしまったけど、やはりしのぶさんを頼れば良かった。
そうすれば宇髄さんに酷いことを言うこともなかったのだから。