第33章 世界で一番大切な"継子"※
胡蝶のあまりの剣幕にやはり早いところ連れてきた方が良かったのだと思い知らされて、申し訳ない想いでいっぱいになる。
でも、腕の中にほの花がいることの安心感なのか…、心はものすごく落ち着いている。
今はわけのわからない八つ当たりをしていた時の感情はない。
ただほの花に申し訳ないとは思う。
「…悪ぃ。俺がほの花にひでぇこと言っちまったからよ。ここに来にくかったんだと思う。」
「酷い、こと?ですか?どうせ碌でもないことを言ってほの花さんを傷つけたんでしょうね。目に浮かびます。」
「おい、辛辣だな。…間違っちゃいねぇけど。」
「とりあえず此方へ」と言って空いてる寝台のある部屋に案内されるとほの花を其処に横たえた。
手際よくペタペタと体を触り、聴診器で胸の音を聴いている胡蝶の邪魔をしないように黙ってそれを見ている。
「…点滴をいれます。発汗による脱水症状が出ています。暫くは此方でお預かりしますので宇髄さんはお帰りになっていいですよ。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。其処で寝ていくわ。任務後で眠いし。使ってねぇからいいんだろ?」
早々に帰れと言われるなんて思わなくて、咄嗟に出たのが此処で休んでいくと言うこと。
まさか俺がそんなことを申し出ると思っていなかったようで胡蝶は呆れたように此方を見ると腰に手を当てて俺を見上げてきた。
その目はまるで凶器のように鋭利だ。
「…その前に何て言ったのか教えてくれます?場合によってはそばにいることを禁じます。」
「おい、俺の継子だぞ?!」
「私の友人でもあります。で?なんて言ったんです?」
やけに圧が強い胡蝶にたじたじになりながらも口の中で言葉を転がしながら少しずつ話し出す。
「他の、柱に馴れ馴れしくするなって…言っちまったから。ここに来にくかったんじゃねぇかなぁ……って、……すいません。」
無言だけどその顔が物語っている。
「そんな酷いことをよく言えましたね…」っていう目で此方を睨みつけてくるが、反論はない。
確かに俺はほの花に酷いことをしたし、言ってしまっだ。
反論の余地は全くないのだ。