第33章 世界で一番大切な"継子"※
限界だった。
宇髄さんが言ったんじゃない。
宇髄さんの言うことを聞いたのに、何で我儘なんて言われないといけないの?
記憶を消す前だって彼と喧嘩したのなんて数えるほどしかしてない。
それなのに溜まりに溜まったものが熱と一緒に噴き出してしまった。
「…師匠、が!言ったんじゃない、ですか!!ほ、ほかの、柱の人に…!馴れ馴れ、しく、するなって…!!」
「そ、それは緊急事態は、別っていうか…」
しどろもどろになる宇髄さんにもう止まらなかった。もういい。
継子を首になったら顔を合わせずに済む。
約束は違えるけど、宇髄さんが望んだのならばもういい。
噴き出したそれは溜まったものが出るまで止まらない。
「…っ、わ、わたし、は!一度、だって…!他の柱の、方に失礼な、態度は取ってないです!ししょ、の顔を立てる、ために…!ちゃんと行動してきた、つもりです…!!」
「ほの花…。」
「それなのに…!今度はっ…しのぶさんの、ところに行かない、といえば…我儘と捉えられる、んですか?!確かに…!音柱である師匠、の継子だから、気にかけてもらっています…!それは師匠の、おかげだと、ちゃんと分かってます…!でも…!それで天狗に、なったり…!有頂天に、なったことなんて…今の今まで一度たりともありませんっ!!どうやったら、自信持てるのかってずっと!ずっと!悩んできたのに…!師匠にまで、そんなこと、言われたら…!私は、どうしたらいいんですか!」
溢れ出した想いは彼に言葉の刃としてぶつけてしまった。
驚いた顔をしているだろう彼は涙で見えない。
溜まったそれは頬を伝い、布団を濡らすけどただでさえ苦しい息だったのに、泣きながら彼に自分の想いをぶつけてしまったせいで過呼吸のようになってしまう。
ハァ、ハァ…と息を吸っても吸っても苦しい。
視界に入れていた宇髄さんも見えなくなって真っ暗闇の中私は意識を手放した。
宇髄さんの声が聴こえた気がしたけど、もういい。
もう、どうでもいい。
幼稚なことを言ってしまった自覚はある。
でも、あなたに継子としても認めてもらえないなら自信なんて持てそうにない。