第33章 世界で一番大切な"継子"※
邪魔だと思ったら言ってくれと言うほの花。
それは俺と嫁達との情交を受け入れている証拠。
誰のせいで勃起しなかったと思っているのだ。
ヤれたらとっくにヤってる。
そもそもそこでヤれたらこんなに不満が溜まることもなかっただろう。
熱が出て、あんなにつらそうなのに一言も誰にも言わないほの花。
それどころか隠すかのように部屋に閉じこもって、顔を合わせれば取り繕うかのように普段通りの笑顔を見せる。
俺はアイツの師匠だ。
少しくらい、弱音くらい吐いてもらっても構わないと言うのにニコニコ笑っているアイツに腹が立つ。
「師匠!」と言ってくるくせにちっとも甘えたりしてこないし、俺と嫁達の夫婦生活の配慮までしてこようとする。
「…余計な世話だっつーの。体調悪ぃのに笑ってんじゃねぇよ…。」
言葉にしてみれば余計に腹が立つ。
ほの花は俺の継子なのにこんなに近くにいるのに遠くの方にいるような感覚に陥る。
手を伸ばしてもアイツがその手を取ることはない。
それどころかこれ見よがしに自分の存在を消すようなことばかりする。
台所に向かった俺は再び嫁達に声をかける。
「なぁ、悪ぃけど誰かやっぱりアイツの看病してやってくれねぇか?ひでぇ熱なんだわ。」
「ええ?!そうなんですか?!わ、わかりました!」
「着替えも頼むわ。汗だくだったけど、とりあえず布団に寝かせてきたからよ。」
ほとんど昼餉の支度を終えたところだったようで仕事を増やして申し訳ないと感じつつも、看病を自分がするわけにはいかない。
着替えさせてやりたくても嫁入り前の女の着替えをするのは些か気が引ける。
嫁にもらってやれば問題は解決するが……
アイツは多分拒絶するだろう。
考えただけでも腹立たしいが、それがほの花と言う女だ。
絶対に絆されないという強い意志を感じるし、師匠と弟子なのだからそれは当たり前だと思う反面、悔しいと感じてしまうのも事実。
慌ただしくも台所を出ていく、まきをと須磨を見送ると、残った雛鶴は早速粥を作ろうとしてくれているのだろう。
三人も美人で気立のいい嫁がいるのだ。
四人目など要らない。
アイツは世話の焼けるただの継子だ。