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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第33章 世界で一番大切な"継子"※





不死川さんと仲良くなった経緯は宇髄さんが絡んでいた。少しずつ、少しずつ親交を深めてきて、今がある。

だけど、今の宇髄さんはそんな経緯は知らないのだから彼がそう思うのも無理はない。
いきなりおはぎをもらう仲だなんて知ったら他の柱に取り入っていると思うかもしれない。


嫌だなぁ。
宇髄さんと喧嘩なんてしたくないのに。
何で怒らせちゃうんだろう?


頭を下げても彼から発せられるのは怒りの感情。ピリピリと肌に突き刺すように感じるそれに迂闊に顔も上げられない。


「…柱は簡単に声をかけられるような存在じゃねぇ。薬師として胡蝶のとこに出入りしてンのは分かってっけど、アイツも柱だ。礼儀と節度を弁えた行動をしろ。いいな?」


「…はい。承知しました。申し訳ありませんでした。」


「…湯浴みをする。準備したらその後はお前は寝ろ。今日は鍛錬はしなくていい。」


そう言うと返事も聞かないまま出て行ってしまった宇髄さんにため息を吐いた。
確かに私は宇髄さんの継子だったからしのぶさんも優しく受け入れてくれたけど、本来なら柱と話せるなんてことはないのは分かっていた。

村田さんも"柱は怖い"と言っているだけあって、彼らは少数精鋭の選り抜きの鬼殺隊士。
彼ら無くして鬼殺隊は成立しないのだ。
だからこそ尊敬されているし、皆彼に敬意を払って接している。

私との記憶がない宇髄さんからしたら、目に余る行動は多々あったのだろう。
彼が怒るのも無理はない。

仮にも私は宇髄さんの継子だ。
カナヲちゃんだって他の柱の人と馴れ馴れしく離しているところを見たことない。


宇髄さんが出て行った襖を見つめた後、風呂場まで向かうと水を入れてお湯を沸かすために薪をくべた。


ぱちっ、ぱちっ…

火が音を立てて薪を燃やしていくのを見ると、ふと煉獄さんを思い出す。
炎柱煉獄杏寿郎さんは本当に私なんかとは比べ物にならないほどの精神力で鬼と対峙したのだろう。

炎のように熱く快活な人だった。


"自信を持て"


そう言ってくれた彼はもういない。
きっと此処にいたら今の私をみたらさぞかし失望することだろう。


もう自信なんて持てそうにないからだ。

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