第33章 世界で一番大切な"継子"※
「え、あ…いや、大丈夫ですよ?そんなに…ねぇ?」
「そ、そうです!ほの花さんが気を遣うことではありませんし…!」
雛鶴さんとまきをさんは顔を見合わせて慌てて否定してきたけど、ただ一人須磨さんがニコニコとした顔のままとんでもないことを言い放った。
「ん〜、そう言えば天元様とそういうこと最近してないけど、全然したくならないから平気です〜!!」
「へ?!え、す、須磨さん?!」
「それよりほの花さんとたまに一緒に寝たいです〜!駄目ですかぁ?」
「……え、あ…いや、い、いい…ですけど…任務がなければ…。」
これはこれで問題発言でしょ?と思い、雛鶴さんとまきをさんを見ても特に咎めることもしない。いつもならばまきをさんとは言い合いを始めてもおかしくないというのに…。
そうか…、此処でもまだ薬の効果があるのかもしれない。彼とのその行為自体に違和感を感じてしまっているのは私と恋仲だったという記憶が頭の片隅に残っているのだろう。
そう考えると宇髄さんに申し訳なくて仕方ない。
「あ、あの…本当に、良いですからね?」
「うーん…でも、此処の部屋を決めたのって天元様ですよね?勝手に部屋を移動させたら怒られるので…」
「あ、……そ、そうなん、ですね。」
まきをさんのその一言で、確かに此処の大黒柱は宇髄さんであって、彼の同意無しでは勝手なことはできないという彼女たちの発言は肯ける。
「…分かりました。では、師匠に直接聞いてみますね!」
「えー。別に聞かなくてもいいですよぉ!私、天元様よりほの花さんと寝たいですぅー!」
「須磨さん、では明日一緒に寝ましょう!今日はまだ今から薬を作らないといけませんので…!」
昼間馬鹿みたいに昼寝を何時間もしてしまったせいで眠くもなければ、一日に作らなければいけない薬は少しも進んでいない。
今から少しでも作っておかないと蝶屋敷の備蓄薬は日々減っていくのだから追いつかない。
それにしても思ったよりも薬の効果があるのには驚かされる。
あの三人には其処までたくさんの量は飲ませていないのにこの効果。
宇髄さんももう少し効いてくれていてもいいのに…
やはり体が大きい分、もう少し薬を増やした方が良かったか…。
薬師として調合の失敗は明らかで肩を落とした。