第33章 世界で一番大切な"継子"※
用意してくれていた夕餉は冷めてしまっていたけど、慌ててそれを平らげると須磨さんと一緒にお風呂に入った。
よく考えたら夕餉を準備してくれているのだから彼女達に連絡を入れなければいけないのは当たり前のことだ。
心配させてしまって申し訳なかった。
お風呂上がり縁側で涼もうと思い、須磨さんと外に出ると雛鶴さんとまきをさんが同じく涼んでいた。
「あー!雛鶴さん、まきをさん!」
「結局、あんた本当にほの花さんとお風呂入ったのね。」
「当然です!!ほの花さん、いい体してました!!」
「な、な、な、何を言ってるんですか、須磨さん?!」
須磨さんの天然発言はいつも度肝を抜かれるが、悪気がないそれは嫌みがなくて可愛い。
宇髄さんが彼女に惚れるのは当たり前だ。
雛鶴さんは料理上手で色っぽいし
まきをさんは明るくて竹を割ったような性格
親御さんが決めた奥様たちとは言え三者三様でそれぞれの良さが際立っている三人はすごく素敵で納得できる。
わたし的には今の瑠璃さんなら宇髄さんも選んでいたような気がする。
だからこの三人の代わりが私だったなんてよくわからない。それこそ夢だったと言われても何の疑いも持たないと思う。
「…あの、御三方にご相談があるのですが…。」
「「「相談?」」」
いつかはその時が来るならば先にそうしておくのが良いだろう。
この屋敷は広いのだから問題などない筈だ。
「はい。いま、私が師匠のお隣の部屋を使っていますが、寝る部屋を別に準備して頂くことは可能でしょうか?」
「それは…何故ですか?」
そう言ったのはまきをさん。
きっと彼女だけはその意図を理解しているのだろう。
私は精一杯の笑顔を見せると話を続けた。
「ほら…夜の夫婦生活もあるでしょうし、私が隣にいると色々と気になるのではないかと思いまして…。」
「え?!」
私の発言に三人ともが顔を真っ赤に染め上げるが、此処はちゃんと話しておかないと。
声を聴かれるのも嫌だろうし、聴くのも…嫌だ。
だとしたら最初から部屋を替えたい。
そうすればお互い気兼ねなく夜を迎えられる。
まきをさんだって変に私に気を遣うことなかった筈だ。