第33章 世界で一番大切な"継子"※
目の前には夜着を着たまきを。
そして俺もまた夜着で向き合っているのだが、お互い膠着状態が続いている。
まるでまぐわいの仕方を忘れてしまったのではないかと思うほど。
「…あの、天元様…?」
一向に動かない俺に見兼ねてまきをが声をかけてきた。
「あ、ああ…悪ぃ。ボーッとしちまった!じゃあ始めるか!」
何が始めるか!だ。そんな色気のない誘い方があるか?
どうしちまったんだよ、俺は。
「えと、いや…、確認なんですけど…私で間違いない、ですよね?」
「……お前は嫁だろ?間違ってねぇよ。」
「…あぁ、そ、そうなん、ですけど…」
誘った時もそうだったが、まきをは乗り気でないのだろうか?さっきからチラチラと見ているのは壁。
それもほの花の部屋がある方だ。
「ほの花…さんに、聴こえちゃうかなって…」
確かにまきをとそういうことをしたのはほの花が此処にくる前だった。その時そこの部屋はもぬけの殻で誰もいなかった。
まきをがそう思うのも無理はないが、そのほの花に欲情してしまったのだから何としても相手をしてもらわないと困るのだ。
「別に…いいだろ?」
俺はまきをの腰を引き寄せて布団に押し倒すが、彼女の困惑した顔を不思議に思うと同時に脳裏を掠めるのはまたもやほの花の笑顔。
何なんだ…お前は。
邪魔すんなよ。
こっちがどんな気持ちだと思っているのだ?
頭を振るとまきをに覆いかぶさり口づけをした。
しかし、何度それをしてもまきをの困惑した顔は消えないし、いつもならば高揚感で肉棒が勃ち上がってくるというのに今日は全くその気配はない。
(…おいおい、今が出番だぞ?お前…しっかりしろ)
朝の湯浴みで無遠慮に勃ち上がってきたというのに今は俺の想いを無視するかのように無反応なそれに焦りを感じる。
早く勃ってくれと思いながらふにゃりと柔らかい肉棒を掴むと口づけをしながら上下に擦り付けた。
それなのにいくら扱いても一向に反応してくれない其れにゆっくりと体を離した。
しかし、俺が起き上がったことでホッとしたような表情をしているまきをにこの行為がやはり悪いことのような気がしてしまう。
そんな筈ないのに。