第32章 世界で一番大切な"ただの継子"
宇髄さん達がお出かけすると言うのを見たくなくて、鍛練後に湯浴みをするとすぐに蝶屋敷に出かけた。
ちょうど朝餉が終わった頃なのか、アオイちゃんが片付けをしているところに出くわす。
「あれ?ほの花ちゃん!おはよう!しのぶ様ならお部屋にいらっしゃると思うよ?」
「あ…うん。ありがとう!」
私が此処に来たのは何故か
薬の在庫の確認をすふこと
炭治郎の怪我の予後の確認
以上
大してやることもないのに、蝶屋敷に入り浸って一体私は誰の継子なのだろうか
音柱 宇髄天元の継子ならば荷物持ちでも何でもして彼と奥様に仕えるくらいのことしなければいけなかったのかもしれない
見るのがツラくて仕事を言い訳に此処にきてしまったけど…私だって…出来ることならば、気持ちの整理がついたらそうしたい
それまではしのぶさんに甘えてもいいだろうか?
秘密を知ってくれている誰かと一緒にいないと自分が潰れてしまいそうなのだ
アオイちゃんに言われて、家に作り置きしてあった薬が入った薬箱を抱え直すとしのぶさんの部屋に向かった
「あら、ほの花さん。おはようございます。」
すると、部屋の前でしのぶさんが出てきたところにちょうど出会った
どこかに行くところだったのだろうか
「…あ、すみません…!お出かけされますか?」
「ああ、違います。そろそろほの花さんがいらっしゃるかと思って出てきたんです。どうぞ?」
本当にしのぶさんには頭が上がらない
そう言って再び扉を開けてくれたので、私はいそいそとその中に入る
他の柱の継子の面倒まで見させて、私はしのぶさんに迷惑をかけてばかりだ
此処にお世話になるのもあまり長い間は失礼だろ
仕事で来るのはいいけど、しのぶさんだって柱で忙しいのに私の話相手になってくれている
「昨日は大丈夫でしたか?宇髄さん、すごい剣幕で帰っていきましたけど…」
「は、はい…!それは…大丈夫だったんですが、成り行きで恋人がいたことを伝えてしまいました…」
「あらあら…一波乱ありそうですねぇ」
それでも、これだけは伝えておかないと宇髄さんがしのぶさんに聞きに来ることも考えられる
巻き込んだのは私なのだからできる限りの情報共有をしておくのも私の仕事の一つだと言い聞かせるしかない