第7章 君は陽だまり
「ほの花さんに対してちゃんとケジメをつけてから手を出したのであれば何の文句もありません。」
「え、し、しのぶさん…?」
「だってせっかく仲良くなったお友達が宇髄さんの良いように手篭めにされたら許せないじゃないですか。」
そこまで聞くとしのぶさんが私のために気にしてくれていたことを初めて知った。
宇髄さんはそんな不埒なことはしないと思うが、私がしのぶさんの立場であってもきっと同じことをしただろう。
「ふぇ、し、しのぶさん…!ありがとう、ございます…!」
「ほの花ちゃん、大丈夫…?」
隣にいたカナヲちゃんが背中を撫でてくれてハンカチを渡してくれた。
里を出て、こんなふうに女の子の友達ができるなんて思わなかった。
雛鶴さん、まきをさん、須磨さんもだけどこの事実に本当に感謝しかない。
「ほら、涙を拭いたらかすてら食べてくださいね。そして馴れ初めも聞かせてもらいますよ?」
「な、なれそめ…?!そ、そんな馴れ初めというほどのものじゃ…!」
「私も…聞きたい…!」
興味津々です!という顔をした二人の威圧感に耐えきれなくなってかすてらに手を伸ばすと必死に視線を逸らした。
(…宇髄さん〜…、助けて下さい〜!)
心の声は届くことはないが、こういう小っ恥ずかしい会話自体私は初めての経験なので嬉しいような、でもやっぱり土に還りたくなるほどの羞恥心に襲われて遠い目をしてしまった。
「宇髄さんから告白してきたんですか?」
「音柱様を好きだと気付いたのはどんなきっかけなの?」
「宇髄さんの鍛錬甘くなりませんか?またうちに来てもいいんですよ?」
「恋仲の男性が師範なんて素敵…!」
もちろん慣れていない私は何と答えたのかも覚えていないほど動揺して、最後の方はのぼせたようにフラフラで結局、宇髄さんにお迎えに来てくれるようにしのぶさんが艶に頼んでくれた。
しかし、カナヲちゃんが言っていた"恋仲"という関係性がいまいちどんなものなのか分からない私は今度はどんな立ち振る舞いをするべきなのか考えても考えても結論に辿り着けなかった。