第32章 世界で一番大切な"ただの継子"
「ほの花ちゃんが思ったよりも元気そうで良かったけど…無理したら駄目だよ?ツラいなら絶対に此処に泣きにきて?」
「…私もほの花ちゃんのこと抱きしめるからね。」
私よりも年下の彼女達にそう言われると嬉しいと同時に何だか可愛くて私の方が抱きしめたくなる。
化けて出て来られるのは怖いけど、夢の中で私の恋人の宇髄さんに会えるのは嬉しいと感じてしまうなんて私も彼に溺れている証拠
現実で難しいのだから夢に逃げることくらい許されるだろうか
「ありがとうね。しのぶさんとお昼ご飯ご一緒する約束してるんだけど、部屋にいるかな?」
アオイちゃんは仕事が残ってるようだし、カナヲちゃんも話を聞いてすぐに来てくれたみたいだったので名残惜しくも私はしのぶさんの部屋に向かうことにした。
「しのぶ様ならお部屋だと思う!もう昼餉運んでくれてると思うから早く行って?ごめんね、引き止めちゃって。」
「私も…ごめんね?」
私を心配して真っ先に慰めに来てくれた二人を咎めることなどできるわけがない。
大切な二人のその気持ちが嬉しくて顔がにやけてしまうのも仕方ないことだ。
「ううん!そんなことない!むしろ嬉しかった。心配してくれてありがとう。また…話聞いてね?」
「「もちろん!」」
炭治郎
善逸
伊之助
カナヲちゃん
アオイちゃん
そしてしのぶさん
私は失ったものばかりじゃない。
失ったのは恋人である宇髄さんだけ
師匠である彼はそばにいるし、こんなにもたくさんの人が私のために悲しんでくれた。慰めてくれた。
これを選んだのは私なのに、こんなにたくさんの人の優しさに触れられただけでもありがたいことだ。
薬箱を担ぎ直すとしのぶさんのお部屋に向かって歩いて行く。
私に残された今日の任務は産屋敷様の調合と彼にことの次第を話すこと
聞きたいこともある。
鬼殺隊として私は間違えたりしない。
宇髄さんとのことは残念だし、悲しいけど…
此処に来たのは彼が両親と知り合いだったから。
宇髄さんの継子になれたのも彼のおかげでもあるのだ。
そして彼と恋仲になったことも凄く喜んでくれたのだからちゃんと報告しなければいけない。
私の決断とこれからのことを