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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第7章 君は陽だまり




しのぶさんに促されてやっと産屋敷様のところに辿り着いたけど、厳しい寒さの筈なのに顔が熱くて全くそんなことを感じないのが変な気分だ。

「こんにちは。ほの花です。お邪魔致します。」

「ほの花さん、どうぞ。いつもありがとうございます。」

あまね様は私なんかにも深々といつもお辞儀をしてくれるとても品の良い女性。
神楽家と直接関係はないのだが、神職のお家柄で少しだけ親近感を感じていて姉のような感覚を持っていた。


「あまね様、耀哉様のお加減は如何でしょうか。」

「今日は比較的気分が良いようです。」


あまね様はいつも部屋の前まで付き添ってくれるが、決して中には入ってこない。薬の調合中は手元が狂うといけないと思ってくれているのかそういう配慮は本当に人として素晴らしい方だと思わざるを得ない。さすが産屋敷家当主の奥様だ。

部屋の前まで来ると「では…」とその場を去っていくあまね様の後ろ姿を見送ってから入室するのはいつもの流れだ。


「…産屋敷様、ほの花です。失礼します。」

「どうぞ。」


襖の向こうから聴こえてくる産屋敷様の声は本当に不思議な声だ。
あんなにもふわふわと浮き足だっていたというのに背筋が伸びるよう。

襖を開けるとこちらを見てくれる彼の目がまた少し見えなくなってきたようで皮膚が爛れていた。
しかし、間違いなく私がいる方を向いてくれているので頭を下げて近寄る。


「あまね様より今日は気分が良いようだとお伺いしました。何よりでございます。」

「ほの花が来るのを楽しみにしていたよ。」

「え?私を…ですか?」

いつもは楽しみにしていた…と仰ることはなかったので不思議に感じたが、彼の隣に置いてある処方箋を確認するとその場で薬の調合を始める。

どことなく嬉しそうなそんな表情を向けられていて、私まで嬉しくなって目尻が下がってしまった。


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