第31章 忍び寄る終焉※
言い知れぬ恐怖に襲われながらの情交なんて御免だ。
ほの花はいつもと同じように見えるかもしれない。
他の奴らが見れば…だ。
でも、俺は分かる。
俺だけは分かる。
ほの花が何か考えていることがあることくらい気づいてしまう。
それが恐らく俺絡みだからこそ余計に。
別れる気はない。
離れる気もない。
それなのに最奥に打ち付けても打ち付けても逃げていくような感覚に陥って怖くてたまらない。
蝶のように軽やかに
散りゆく花びらのようにひらひらと
掴みどころのないほの花が目の前にいる。
本当は気づいていたのかもしれない。
ほの花がいつも何かに怯えていたことに。
気づかないふりをしていた。
気付けばもっと逃げられると思ったから。
そばにいて欲しかった。
初めて心の底から欲しいと願った女。
親が選んだのではなく、初めて自分で選んだ女だから。
失うことが怖くて怖くてたまらなかった。
どうすれば確実にそばにいる?
そう考えた時、俺は最低な考えしか浮かばなかったのだ。
今まで頑なに避けてきたというのに、今更と思われるかもしれない。
でも、もういい。
我慢してきた全てを投げ打ってでもほの花を手放したくなかった。
絶頂に向けて突き進む中、俺の心は決まった。
ほの花の蜜路で限界まで律動を繰り返すとそのまま最奥に白濁を解き放った。
顔を見れなくて肩に突っ伏してみたけど、ほの花は責めることはやっぱりしなかった。
もう今すぐにでも嫁にすると宣言すれば、困ったように泣きそうな顔で笑っていた。
答えを聞きたくなくて俺はそのまま再びほの花を押し倒した。
経口避妊薬を飲んでることは知ってる。それでも最後の望みをかけて、何度もほの花を抱いた。
だけど、悔しいことにほの花の薬は何だってよく効くのだ。
恐らくこんな行為はただの無駄骨に終わる。
それでも止められなかった。
自分の愛を押しつけてでもほの花を繋ぎ止めておきたかった。
いつもなら根を上げるところなのに疲れきって死んだように眠るまでほの花は一度も拒まなかった。
拒まないなんて嬉しいはずなのに今日は虚しく感じた。