第31章 忍び寄る終焉※
夜明け前、漸くその行為が終わった。
終わりたくないと願っていたそれは私を何度も覚醒させた。
いつもなら意識を手放すところを今日は一秒たりとも私を抱いてくれてる宇髄さんを見逃したくなくて全力でまぐわいをした。
隣には死んだように眠りについた宇髄さんが私のことを抱きしめている。
その力の強さに苦笑いを浮かべるが、ゆっくりと其処から抜け出す。
「…天元…、ありがとう」
ごめんね。
「愛してくれて、ありがとう」
ごめんね。
「大好きだよ、ずっと。」
ごめんね。
散らばった夜着を身につけると私は自分の部屋に向かった。
私はその日、大切なものを自ら手放した。
***
翌朝、怠い体を起こすと身だしなみを整えて、台所に向かった。
「おはようございます!雛鶴さん、まきをさん、須磨さん」
「「「おはようございますー。」」」
世界は廻る
自分が居なくなっても
でも、想いだけはずっと受け継がれていく
私はこの想いをずっと大切な宝物にする
美味しそうなおかずが出来上がっていくと、それをお盆に乗せて居間に運んでいく。
其処には幼い頃よりずっと共に生きてきた元護衛の正宗、隆元、大進
彼らにそれを渡すといつも通りの定位置にそれを並べてくれる
"自信を持て"煉獄さんが残してくれた言葉
合ってるか分からないけど、これだけは言える。私は大切な人を守るためなら悪者になれる。
恨まれても良い。嫌われても良い。
それでも生きていて欲しいから。
ほら、そろそろ大好きな人が起きてくる頃
足音が聴こえて来たので、振り向けば襖が開いた先にいたのは愛おしい貴方
「あ、おはようございます!師匠!」
「…へ?あ…、ああ…ほの花か。」
「どうしたんですか?変な顔して。寝ぼけてます?」
「あー…いや、悪ぃ。何でもない。」
私は大切なものを守るために
大切なものを捨てた
私が捨てたのは
貴方と過ごした二人の時間
貴方と愛し合った日々
ありがとう
さようなら
また初めからやり直そう。
でも、もう二度と貴方と交わることはない。
そのかわり…約束通りずっとそばにいるよ。
私は貴方の継子だから。
世界で一番大切な貴方が迷いなく進めますように。
大切な人たちと幸せになれますように。