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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第31章 忍び寄る終焉※






ざわざわとした人々が行き交う通りを抜けると川沿いに大勢の人が集まっていた。
どうやらそこで花火が上がるらしい。


「では、天元様、ほの花さん。私たちは此処で。」


「おぅ!またな。帰ったら茶でも飲もうぜ〜。」


「え…?雛鶴さん達、何処に行くんですか?」



せっかくみんなで見るのかと思いきや、雛鶴さんと正宗が手を振ってどこかに行こうとしているので慌てて引き止めた。
よく見れば、まきをさんと須磨さん、隆元と大進は既にそこにはいなくて、遠くの方で楽しそうに笑い合っている。


「何処って…、此処からはお二人で楽しんでください。せっかくなんですから…。」


「え!?いやいや!みんなで…!」


「ほの花様、宇髄様に迷惑かけないでくださいね?行きましょう、雛さん。」


「はい。それでは。」


気を…遣わせてしまったようだ。
私が宇髄さんを独り占めしたいような顔をしていたのだろうか。申し訳ないことをしてしまった。


「なーんでお前はそんな顔してんの。俺と二人じゃ不満かよー。」


「ち、ちが!そうじゃ、ないけど…!みんなで見ると思ってたから…気を遣ってくれたのかな?って…」


「さっき、お前が茶の準備してるときにアイツらの方からそれでもいいか?って言ってきたんだよ。気にすることはねぇよ。」


そう言うと宇髄さんは私の手を取り、川辺を歩いて行く。こんなに多くの人がいても宇髄さんはとても目立つ。
背丈が大きいのもあるけど、誰がどう見ても美丈夫だし、みんなが彼を見ている気がする。


そんな隣を歩くだけでも感謝と申し訳なさが入り乱れる。

こんなところで嫉妬丸出ししても恥ずかしいだけだ…と気にしないように周りを見てみると出店がたくさん出ていて美味しそうな匂いが漂っている。


花火大会と言うだけあって、お祭りも兼ねているようだ。


里にいる時はお祭り自体なかったし、物珍しくてキョロキョロと辺りを見回してしまう。


「気になるモンがあるなら買ってやろうか?」


「え?あ、違うの。特定のものに気を取られていたわけじゃなくて…!里ではこんなお祭りなかったから珍しくて。賑やかでいいね!」


花火を見にきたのに別のものに目を奪われるなんてお子ちゃまだと思われただろうか。
でも、見上げた先の宇髄さんの顔が凄く優しくて泣きそうになった。

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