第31章 忍び寄る終焉※
花火大会までもう少し時間があったのでみんなで縁側で西瓜を食べようということになったので、宇髄さんと共に向かった。
「あー、クソ可愛い…マジで可愛い…なぁ、西瓜食ったらほの花も食って…「駄目だってば」
「何でよ?俺、お前の恋人だよな?」
「せっかくきれいにしてもらったんだよー?花火大会が終わるまで待って?」
可愛いと言ってくれるのはもちろん嬉しいんだけど、隙あらば帯を外しにかかってくる彼に私は戦々恐々としている。
こちらだって宇髄さんの浴衣が格好よくてドキドキしているし、他の女性が見たら嫌だなぁ…なんて思っているけど、それ以上に花火大会に行っておきたかった。
もう二度と行けないかもしれないし、煉獄さんの慰霊になるならば是非とも行きたいと思うのは当たり前だ。
縁側に出ると既にまきをさんが切った西瓜をみんなに配っていて、入ってきた私たちに須磨さんが駆け寄ってきてくれた。
「あーー!天元様!ほの花さん!良かったぁ〜!みんなで賭けをしてたんですよ?天元様が我慢できるかどうかって。私、我慢するに賭けちゃったから来てくれて良かったですぅーー!!」
「お前のデケェ声で水を差されなければヤってたわ!!邪魔しやがって!」
「駄目ですよー!痕を消すの大変なんですからね?!…まきをさんが」
「お前じゃないんかよ。」
二人のやり取りを微笑ましく見つめていると、雛鶴さんが「お茶を淹れてきます」と言って立ち上がろうとしたので、制して「私がやります」と名乗り出た。
いつもやってもらってるし、立ってるついでだった。
「え…、でも…。」
「大丈夫です。美味しいお茶淹れてきますね〜!待っててください!」
「手伝うか?」
「ううん!大丈夫!宇髄さんはあっちで正宗達とお話してて。」
「そうか?じゃあ待ってるな。重かったら呼べよー?」
お茶を運ぶくらい鍛錬をしている私からしたら軽いものなのにこうやっていつも心配してくれるのもいつものこと。
「天元様のおかげで負けちゃったじゃないですかー!」
「俺らを賭けに使ってんじゃねぇよ!」
「私は勝たせて頂きました!」
「私もですぅー!!」
何の変哲もない日常。
これがずっと続くなんてあり得ないこと。
でも、この幸せを守るために私たちは戦い続けるんだ。