第31章 忍び寄る終焉※
宇髄さんとお昼過ぎまで眠ると、起きた瞬間「で?」と言われた。
もちろんちんぷんかんぷんな私はわけがわからず無言が流れるが、トンと肩を押されると布団に組み敷かれて口づけをされる。
柔らかい唇が私のを捉えて"ちゅ"と言う音を立てる。角度を変えてもう一度されると今度はペロッと舐められたので体が跳ねた。
「…あ、あの…?」
「ったくよぉ…昨日、何で鋼鐡塚と帰ってきた?起きたら聞くって言ったろうが。忘れてんなよな。」
「ああ…!!いや〜…それが途中までしか記憶がなくて…、私此処まで歩いてきたのかな?知ってる?」
鋼鐡塚さんと話していたのは覚えているけど、途中で壁に頭を擦り付けながら何とか歩いていた。
でも、肝心の家に入った記憶が全くないのだ。
「はぁ?!そんな曖昧なのかよ?鋼鐡塚の背中に頭押し付けて歩いてきたけどそれに関して弁解は?」
──鋼鐡塚さんの背中に頭を押し付けて歩いてきた?
え?どういうこと?
ひょっとして…私って壁と間違えて鋼鐡塚さんの背中を使ったってこと?
いや、確かに目の前にちょうどいい壁なんてそうそう現れないに決まってるが、そんな状態で帰ってきて宇髄さんに目撃されたということ?
「…か、…壁だと思ってた…。」
「馬鹿なのか、お前は。」
「壁に頭擦り付けて必死に歩いてるつもりだった…。」
「………まぁ、色めいたことじゃねぇとは思っていたけどよ。鋼鐡塚だから良かったものを下手したら誘ってると思われるぞ。俺以外に触れた罰で今日明日は派手に抱き潰すからな。覚悟しとけよ。」
お咎めなし…と言うわけではないけど、宇髄さんはどうやら鋼鐡塚さんのことは割と信用しているのかあまり感情的になっていないようだ。
「う、うん…。よろしくお願いします…」
「は?抱き潰されてもいいんかよ。」
「だって…暫く、シてないから…シたい、よ。」
そう言って彼を見上げてみると、熱い視線が絡み合った。
上から降ってくる熱い唇は先ほどの口づけとは違い、濃厚な其れ。
腕を首の下に入れられると引き寄せられて、同時に舌までにゅるりと入ってきた。
抗うことなどしない。
私は宇髄さんに身を任せた。