第7章 君は陽だまり
宇髄さんから贈り物をもらって、有頂天になっていたが……。
これからどうすればいいのだろうか?
私のことを好きだと言ってくれたのは…その…どちらの好きなのだろう?
異性として…?それとも家族のような…?
いや、"俺の愛を…"って言っていたからきっと異性として好きだと言ってくれたのだと思う…、というかそうであってほしい。
でも、家にいれば私たちの振る舞いは変わらない。
食卓は正宗たちや雛鶴さんたちも変わらずいるわけだし、隣に座るのは宇髄さんでもそれは今までと変わらない。
食事が終われば雛鶴さんかまきをさんか須磨さんの誰かと何故かお風呂に入り(ひどい時は三人で入る)、若干のぼせ気味になりながら部屋に戻って香油をつけてボーッとしてから寝る。
何も変わらないではないか…?
朝起きたらまた八人で食事をして、宇髄さんの地獄の鍛錬を受けて、その後カナヲちゃんとお茶をしに…
何も変わらないではないか…?(其の弐)
唯一変わったのは髪に付けられる宇髄さんがくれた花飾りのみ。
これを付けてるだけで宇髄さんが頗る機嫌が良い。
私ももちろん気に入ってるのだから鏡に映るそれを見るとニヤけてしまう。
何も変わらない生活であっても、変わったこともある。
奥様達への配慮をしなくても良くなったこと。
今までは距離が近いやら軽く触れられるだけで誰か見てやしないかとビクビクしていたと言うのに急に「ほの花〜」と肩を組んできたとしても周りを気にすることは無くなった。
恥ずかしくて下を向いて耐えるのは変わらないのだが、それだけでも私にしては進歩なのだ。
「なぁ、ほの花ちゃんー。一体今日はどこ行くわけ。」
そしてまさに今、玄関で抱きつかれながら耳元で喋られる私はカチンコチンに固まっている。
後ろから腕の中に閉じ込められてしまうと嫌でも彼の温もりを感じて蒸発しそうだというのにそんな私と違い、随分と余裕そうな宇髄さんは大人の余裕なのだろうか。
少しだけ悔しい。