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陽だまりの先へ【鬼滅の刃/音夢💎】R指定有

第31章 忍び寄る終焉※





ただ…まさか三人もいたとは驚いた。
他人のことだ。根掘り葉掘り聞くのは好きじゃないし、そこまで音柱に興味はない。

申し訳なさそうな声色に変わったほの花にチラッと後ろを向くと案の定、苦笑いをむけている。
自分のために音柱が三人の女と関係を切ったことに責任を感じているのだろう。コイツはそういうどうでもいいことを気にする奴だ。

男からしたらそんな小さなことを気にする意味はないとすら思うが、繊細で優しい彼女からすればそう思うのは無理はないかもしれない。


「不満なのか?」


「え?え?!いえ?不満なんかないです!」


「じゃあ何でそんな申し訳なさそうな顔をする?お前を選んだのは音柱だろうが。選ばれたことに自信を持て。」


周りがどう思おうが、音柱はほの花一人を愛し抜くと決めているのだろう。
噂話などよくあることだとは思うが、これ見よがしに音柱とほの花のことはどこに行っても聞くのだ。
誰しもがその噂を敢えて口にしている気さえしていた。

それこそがあの男の真の目的だろう。

外堀から埋めて誰かに手を出されないようにしている。鬼殺隊の中で絶対的な存在である柱。
その柱の女とくれば、普通ならば手を出すことなど怖くてできやしない。

しかし、恋仲だと言うのを大っぴらにしなければそれは伝わらない。


だから音柱はわざと噂を流すように仕向けているのだろう。敵ながら天晴の用意周到ぶりだ。


「…自信、かぁ…。鋼鐡塚さんは刀鍛冶として自信あります?」


突然真剣な目でそう聞かれたので迷わず頷いてやった。


「当たり前だろうが。自信がなけりゃ人の刀を作ったりしない。適当なもん作りゃ、そいつの生死にも関わるんだ。」


刀鍛冶は戦えないが、自分の真心を込めて作った刀を戦場に連れて行ってもらえる。それは敵を撃つためだけでなく、その人を守るためのものでもある。


自信がなければ刀を作ることは危険な行為でしかない。

しかし、そんなことを聞いてくる理由はたった一つしかない。

「お前自信ないのか?」


今度は此方を見ることもなく項垂れて前を見つめるほの花の瞳は揺れている。あれほどまでに素晴らしい薬が作れると言うのに自信のなさを感じている様子に俺は目を見開いた。



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